ファッション&ビューティ業界にとっても馴染み深いトランジットジェネラルオフィスグループの主力事業は、カフェ&レストラン、イベントの企画・運営やケータリングなど。コロナ禍によって、一般的には甚大な影響を受けたビジネスだ。同社は7月1日、不動産の関連会社リアルゲイトをサイバーエージェントに売却。コロナで発生した損失を補填し、新たなビジネスに挑む。創業から20年を迎えた中村貞裕社長を直撃した。
Q.リアルゲイト売却の理由は?
トランジットジェネラルオフィスグループは7月1日、シェアオフィスを企画運営するリアルゲイト(岩本裕代表)の保有する全株式をサイバーエージェント(藤田晋代表)に売却した。リアルゲイトは渋谷エリアを中心にシェアオフィスなどを60棟企画、運営している。中村社長は、「コロナ禍でもリアルゲイトは順調だった。より大きく成長させるには、(非上場の)僕たちより、上場しているサイバーエージェントグループに入ったほうが良い」。サイバーエージェントも不動産という新領域、しかもお膝元の渋谷での新機軸に意欲的で、経営体制はそのままにITとクリエイティブな不動産の融合を目指し、自由なワークプレイスと街づくりを目指す。
Q.飲食・イベント業も大変だった1年を振り返って?
中村社長は、「最初の緊急事態宣言では全店舗をクローズして大変だった」と振り返る。この間の損失は、「WWDJAPAN」推定で数億円。直営店の出店を凍結するなどの対応に追われた。ただ「トランジットには、お酒をサーブする夜のビジネスが少ない」。それでも売り上げは2~3割減と大きく落ち込んだが、同業他社に比べるとダメージは軽そうだ。以降、飲食は回復傾向にあるが、イベントはまだ少ない。
Q.イベントやケータリングで育んできたブランドとの関係は?
イベントが減少し、大きなパーティの企画・運営や、提供するケータリングなどのビジネスは大きく変化したが、ブランドとの関係は続いている。不特定多数に向けたイベントから特定少数に対するホスピタリティーにシフトしたブランドとは、顧客向けのお土産などを共同開発。パーティに送り込んでいたイケメンボーイズも「検温スタッフ」として派遣中だ。中村社長は、「売り上げ規模は1ケタ小さくなったが、ブランドとの関係はむしろ深くなった」。
Q.ズバリ、次は何をやるの?
コロナの1年は、「もともと厳しかった店舗はもっと厳しくなったけれど、人気店の回復は早かった」。政府からの補償を受けながら、それでも、いくつかの不採算店舗は手放すなどのスリム化を図り、そして今回のリアルゲイト売却に伴う資金を活用してギアチェンジを図る。直近では、代々木のKURKKU内にあった共同運営のMUSIC BARを渋谷に移転(現在はまん延防止等重点措置の発令中により休業中)。引き続き、音楽家の小林武史が厳選した3000枚超えのアナログレコードをDJがプレイする。コラボや協業によるカフェやメンバーシップクラブのオープンは、まだまだ続きそうだ。また、新規事業としてアウトドア事業部を設立予定。2022年春には山梨県に複合型のキャンプ施設をオープンし、その後全国展開する計画だ。ここでは、アウトドアのギアと食事のブランドを立ち上げるという。
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