スノーピークは、新潟・三条の本社敷地を約5万坪から約15万坪に拡張し、温浴施設やレストランが入る複合型リゾート施設「フィールド スイート スパ ヘッドクォーターズ(FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS)」を2022年春に開業する。総工費は約25億円。8日には、本社でメディア向けの発表会を行い、山井太会長と山井梨沙社長、同施設の建築を手掛けた隈研吾が登壇した。
同施設の建築面積は2007平方メートルで、地上1階と地下1階の2層構造。スノーピークが運営しているキャンプフィールドのすぐ隣の土地に建設中だ。施設は中核となるスパに加えてレストランや宿泊施設を備える。粟ケ岳を見渡せる開放的な露天風呂やサウナが入るスパは約400平方メートルで、最大収容人数は240人。全面ガラス張りのレストランは約140平方メートルで、65席となる。レストランは、ミシュラン三ツ星獲得店「神楽坂 石かわ」の石川秀樹が監修する。宿泊施設は100平方メートルのヴィラが1棟、50平方メートルが2棟、隈とスノーピークが協業したモバイルハウス“住箱”を4つ配置する。ほかにもラウンジやショップも入る予定だ。
建築を担当した隈研吾は「スノーピーク初めてのスパということで、世界から注目される施設になる」と期待する。建築のコンセプトは“The Heart of Camping”で「キャンプの心が感じられるインテリアを意識した」と隈。「約2万本の薪を使ったほかにはない建築で、中の家具も薪をイメージした。また燕三条の伝統が感じられるメタルウオールや、現地の土を使った左官壁などローカルマテリアルを採用している」と説明した。
山井太会長は「スパは、2011年に本社をこの場所に移した当初から計画していた。しかし当時の年間売上高が約30億に対し、本社の総工費で17億円をかかったため断念した。結果的に開業まで10年かかったが、隈さんやいろいろな方との縁ができた」と話した。
山井梨沙社長は「文明の進化で便利になる一方、人が自然から遠のいて人間性が低下している。私たちの使命は、もう一度人と自然をつなぎ、人間性の回復を目指すこと。11年に開業したキャンプフィールド、22年にオープンするフィールド スイート スパ ヘッドクォーターズを経て、25年までにスノーピークが目指すライフバリュー“衣食住働遊”を可視化する場所を目指したい」と述べた。