ファッション
連載 齊藤孝浩の業界のミカタ

商品取扱高が増えても、収益性低下が懸念されるZOZOの課題 【齊藤孝浩のファッション業界のミカタVol.27】

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 企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回はZOZOの最新決算のポイントと同社が抱える課題を読み解く。(この記事は「WWDJAPAN」2021年7月12日号からの抜粋です)

 今回はファッションECの雄、ZOZOの決算ポイントをまとめます。2021年3月期は商品取扱高が前期比21.5%増の4194億円、売上高が同17.4%増の1474億円、営業利益が同58.3%増の441億円で増収増益でした。商品取扱高が20%増になっていますね。コロナ禍で在庫がZOZOTOWNに集中し、多くのブランドがZOZO頼みになりました。その結果が数字に表れています。

 今回から、項目に「商品取扱高(その他商品取扱高除く)」というのが出てきます。PayPayモールZOZOTOWN店には、ZOZOTOWN出店ブランド以外のブランドの販売支援をしているものがあるのですが、それが「その他商品取扱高」に当たります。そんな前年実績のない取引高を差し引き、既存ビジネスだけの実績を前年と比べると18.2%増になります。

 前年はZOZOARIGATOをやったり、プライベートブランドに注力したりで、利益率が落ちていたのですが、収益構造が回復し、なおかつ商品取扱高が増えたので、久しぶりに商品取扱高比の営業利益率が10.5%に達しています。

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