「大きいところは、プラットフォーマーになって生態系を」
「無印良品」の中に、調剤薬局ですか!「頭いいなぁ、誰が考えたんだろう?」って思いますね。
ハッキリ言って、メリットしか無さそうなんです。無印にとってみれば、処方せんを持って定期的に薬局を訪れる人たちに出会うチャンスですよね?薬局にとっては、主力製品じゃないから品揃えも悪く、定価販売も多いから誰も買わなそうなマスクや包帯(無印には、包帯もありますw)の仕入れから解放されて、調剤や市販薬の販売に専念できそう。何より消費者にとっては、「あ、カラダをあっためたいからスープ買って帰ろう」とか「熱中症怖いから、梅キャンディいっとく?」なんて買い回りができるワケで、まさに“三方よし”です。同じような買い回りは、ドラッグストア内に併設の調剤薬局でも可能ですが、ドラッグストア内の商品には「添加物多そう。病気の今は、チョット……」な商品も多いんですよね。ドラッグストア内の薬局→ドラッグストアの買い回りは何度か経験しましたが、結局スポーツ飲料や経口補水液、パウチ入りのおかゆくらいしか買えないこともありました。「無印良品」の方が、気兼ねせず、いろんな食品を買い物カゴに入れられそうです。
と、「無印良品」は大型店を中心に、まさにプラットフォーマー、もしくは生態系になってきましたね。
「生態系」という言葉は最近、大手アパレルを担当している林デスクや本橋記者からも聞いた言葉です。当初はサブスクやオフプライスストアなど、新業態で、洋服を取り巻く世界を拡張している様を表現している言葉のようでした。ところが最近の大手アパレルには彼ら曰く、生産や販売に関するノウハウを提供しながら、D2Cやインフルエンサーのアイデアを形にしたり、他社も巻き込んで商品を作ったりの流れがあるそうです。そういえば私も先日、伊藤忠商事から「今後の商社に望むことは?」と聞かれ、「プラットフォーマーとして、素材の調達から販売、時には資本注入やM&Aも含めて、アップカミングなブランドを盛り上げるプラットフォーマーになって欲しい!」とリクエストさせていただいたところ。「大きいところは、プラットフォーマーになって生態系を」。この流れ、盛り上げたいですね。
次にプラットフォーマーとして生態系の構築を期待しちゃうのは、百貨店でしょうか?D2CのRaaS(Retail as a Service)に挑戦する渋谷西武、図書館を構えた大丸須磨店など、その片鱗は見えてきました。なんて思っていたら、高島屋などにも、そんな考えはありそうです。こちらはサステナ軸みたいですね。
そんな「プラットフォーマーとして生態系」を作りつつある百貨店を特集した「WWDJAPAN」は、来週月曜日発売です!百貨店は、どんな生態系を作ろうとしているのかな?月曜日を前に、「もう一回、ギリシャ神話読んどこうかな?」と思っています。気分は今、創造の神なのです(笑)。
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