米百貨店ノードストローム(NORDSTROM)は、英アパレルECを運営するエイソス(ASOS)傘下のブランド「トップショップ(TOPSHOP)」「トップマン(TOPMAN)」「ミスセルフリッジ(MISS SELFRIDGE)」「HIIT」の少数株式を取得した。持ち分や取得額は明らかにされていない。
ノードストロームはこれによってエイソスと協業することになるが、エイソスではなく各ブランドの株式を取得しており、ノードストロームがブランドに直接投資をした初のケースとなった。なお、4ブランドの運営やクリエイティブ面については今後もエイソスが権限を持つ。
今回の取引で、ノードストロームは「トップショップ」と「トップマン」の北米における独占販売権を獲得。いずれもトレンドを取り入れたデザイン性の高い服を手頃な価格で提供する若者向けのブランドで、12年に米国市場に進出して以来、ノードストロームでのみ取り扱われている。一方、カナダでは大手小売りのハドソンズ・ベイ・カンパニー(HUDSON'S BAY COMPANY)が百貨店でインショップを展開しているが、これらは21年秋を目処に閉店するため、店舗での販売は世界中でノードストロームのみとなる。
前述の4ブランドは、以前は英アルカディア・グループ(ARCADIA GROUP)が保有していたが、同社が2020年11月に経営破綻したことに伴い、21年2月にエイソスが知的財産なども含めて2億6500万ポンド(約405億円)で買収した。エイソスがEC事業に特化していることから、「トップショップ」などの店舗は買収対象に含まれなかった。
ピーター・ノードストローム(Peter Nordstrom)=ノードストローム社長兼チーフ・ブランド・オフィサーは、「20代の消費者向けのファッションをけん引するエイソスは、当社にとって素晴らしいパートナーだ。今回の協業によって、卸と小売りの新たな関係性を構築していきたい」と語った。
ニック・ベイトン(Nick Beighton)=エイソス最高経営責任者は、「米国の消費者に関する深い洞察力や北米市場での幅広いリーチを持ち、『トップショップ』と長年にわたって良好な関係を築いているノードストロームは、当社やその傘下ブランドのさらなる成長を促してくれる、またとないパートナーだ」と述べた。
ノードストロームは以前からECの強化に取り組んでおり、オンラインで注文した商品を店頭で受け取れるシームレスなショッピング体験に力を入れている。この秋からは、エイソスのECで購入した商品についても、ノードストロームおよびそのアウトレット業態「ノードストロム ラック(NORDSTROM RACK)」での受け取りが可能となる。
現在のところ、ノードストロームは「ミスセルフリッジ」と「HIIT」ブランドを取り扱っていない。今後の展開について、同社の広報担当者は、「エイソス傘下のブランドの販売について検討中だが、現時点で発表できることはない」とコメントしている。