ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週は、上半期ベストコスメ賞に関する話。
【賢者が選んだ注目ニュース】
「「WWDJAPAN 2021上半期ベストコスメ」を読み解く
「アットコスメ」2021年上半期ベストコスメ大賞は
WWDJAPANのベストコスメは各チャネルのバイヤーが売り上げを基準に選定するもので、1~4月の期間に発売された新製品と既存品を含めた全製品、2つの基準で選定が行われている。新製品でランキング入りした製品が、既存品を含めたランキングにも入っているかどうかで、新製品の「強さ」が見えてくる。
百貨店部門で2つのランキングを制した「ポーラ(POLA)」の“リンクルショット メディカルセラム N”は、史上初の「シワ改善コスメ」としてのデビューから5年を経ての進化版。これまでの愛用者に加え、進化版の登場を機に初めて手に取る層までを取り込んだ結果といえる。一方で化粧水部門を見ると、2つのランキングに入っている製品が全く異なっていることが分かる。既存品込みのランキングでは「イプサ」(IPSA)の“ザ ・タイムR アクア”の他、「アルビオン(ALBION)」の“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”、「SK-Ⅱ」の“フェイシャルトリートメントエッセンス”という、不動のベストセラー製品が控えている。この3品はこの先もしばらくランキング上位を譲らないだろう。
愛用者を育てるには、一人一人のユーザーと接する地道なコミュニケーションを続けていくしかない。時間のかかる話ではあるが、その手間を惜しめば「信頼感」は育たない。ベストコスメを獲得することは、ブランドにとって新客誘致の大きなチャンスとなる。しかし、その新客との関係性を「愛用者」にまで高める施策を続けることが、数年先の大きな力となるはずだ。こうしたロングセラーの育成は国内ブランドに強みがあったが、「ランコム(LANCOME)」「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」「ディオール(DIOR)」といった外資系ブランドも、それぞれのスターアイテムを進化させ、ロングセラーに育てる戦略にシフトしている。短いサイクルで新製品を出し続け、リニューアルを繰り返してきたこれまでのマーケティングにも、サステナビリティの流れが定着してほしいところだ。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。