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東急百貨店「本店閉店後」も渋谷で稼ぐ

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 東急百貨店は、2023年春頃に渋谷の東急本店の営業を終了する。「100年に1度」とうたわれた渋谷駅の大規模な再開発に伴い、渋谷駅直結の東急東横店も20年春に86年の歴史に幕を閉じた。電鉄系百貨店がグループのターミナル駅の旗艦店を相次いで閉める異例の決断。それでも東急百貨店は渋谷を戦略拠点にすることは変わりないという。旗艦店を持たない百貨店とはどんなビジネスモデルなのか。(この記事はWWDジャパン2021年7月12日号からの抜粋です)

 1934年、東急の前身の東京横浜電鉄が渋谷駅に東横百貨店(のちの東急東横店)、さらに67年、渋谷駅から徒歩5分の場所に東急本店を開業した。駅直結で食品や日用品に強い東急東横店と、日本屈指の高級住宅街・松濤をお膝元にして富裕層の支持を集める東急本店。この2つの旗艦店が東急百貨店の屋台骨だった。

 だが親会社の東急を中心とした渋谷の再開発を契機に、グループの小売り戦略と百貨店のあり方が根本から見直される。東急東横店の東館などの跡地には、東急、JR東日本、東京メトロが開発した渋谷スクランブルスクエア1期棟が2019年11月に開業。20年春に閉店した東急東横店の西館・南館跡地も再開発され、27年には2期棟がオープンする。東急本店も23年春以降に解体され、跡地には東急、東急百貨店、Lキャタルトン(LVMH系の投資会社)の3社による複合施設が建てられる。

渋谷駅の東西に百貨店のスピンオフ

 同社の百貨店事業としては吉祥寺、たまプラーザ、札幌などの店舗は残るものの、東急グループの本拠地である渋谷から「東急百貨店」の看板は消える。しかし大石次則社長は「旗艦店に頼らない『融合型リテーラー』という新しいビジネスモデルの準備をしてきた。これを磨き上げることで渋谷のお客さまとの関係は深まる」と話す。

 5月に東急本店の閉店を正式発表した後、社員に向けて20回以上、説明会を開いた。「閉店すなわちネガティブと捉えられては困る。新しい成長戦略をきちんと理解してもらえるよう丁寧に話し合った」。本店で働く社員は200人前後だが、閉店に伴う希望退職などは募らず、融合型リテーラーの戦略で生まれる新規事業に再配置する。

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