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温泉旅館から個店が集まる商店街まで 参加型の街づくりで変わるシモキタ

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 長らく開発工事が続いている下北沢周辺地域の全容が見えてきた。小田急電鉄が開発を進める同地域では、2019年に誕生した駅ビル「シモキタエキウエ」を皮切りに、温泉旅館「由縁別邸 代田」や個性的な飲食や物販店舗を集めた広場「ボーナストラック」、2層24区画の分棟型の商業空間「リロード」など、新名所が続々と誕生している。1964年に下北沢地区(東北沢駅〜世田谷代田駅間)の都市計画を発表して以降、住民の反対運動などの紆余曲折を経て、今年11月に開業を控えるミニシアター併設の複合施設をもって完成となる。開発の狙いや街の変化について話を聞いた。

 小田急電鉄は、列車の増発や街を北と南に分断していた「開かずの踏切」解消のため、2004年に複々線化工事に着手。駅を19年までに地下化したことで生まれた世田谷代田駅から東北沢駅までの約1.7kmの線路跡地を、「下北線路街」と名付けて開発を進めてきた。

 キーワードは「支援型開発」。同プロジェクトを17年から担当する橋本崇まちづくり事業本部エリア事業創造部課長は、地元の人々との対話を繰り返し、ニーズを丁寧に拾った。

 橋本課長は「着任以前の6年間はプロジェクトが難航していた。私が挨拶のつもりで行った住人の集まりでは、『俺たちのシモキタだから、小田急が計画を考える必要はない』といった意見を浴び、衝撃を受けた。対話を続けると一人一人が素晴らしいアイデアを持っていて、彼らのアイデアを実現する方が街が良くなると気付いた」と振り返る。街の課題を地元の人々と擦り合わせ、「出会い」が生まれる「下北線路街」の構想が固まった。

 重視したのは訪れる人々が町全体を回遊する設計だ。柏雅康・下北沢商店連合会会長は、「われわれの最大の懸念は、駅が地下化することで、街の様子が見えなくなり、下北沢が通過駅となってしまうことだった。さらに大きな駅ビルが建つと人々はそこで完結してしまう。改札から外に人を送る設計をお願いした」と話す。

 実際に工事期間に減少していた乗降客数は増加傾向を見せている。柏会長は「これまで地元感の強かった世田谷代田駅付近も盛り上がっているようだ。『ボーナストラック』に向かっていく新しい人の流れが確実にできている」と評価する。

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