LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)系の投資会社、Lキャタルトン(L CATTERTON)はエトロ(ETRO)の株式の60%を5億ユーロ(約650億円)で取得した。本件取引に近しい金融関係者が米「WWD」にこの事実を認めた。エトロ社が保有する不動産や直営店舗の一部は取引の対象外とされた。「エトロ」は世界中に約200店舗あるという。
エトロは一族経営で、これまで一貫して身売りはしないと公言していたが、今年4月には「ビジネスの将来的な成長のための環境を整えることに注力していく。このため、グループは提携の可能性などを検証している」とコメントしていた。
エトロは1968年にジェローラモ・エトロ(Gerolamo Etro)がテキスタイル会社として創業。80年代にはウエアやライフスタイル分野にも手を広げ、香水やスーツケースも手掛けるようになった。ヴェロニカ(Veronica Etro)がウィメンズのクリエイティブ・ディレクターを、キーン(Kean Etro)がメンズのクリエイティブ・ディレクターを、イッポリート(Ippolito Etro)が事業戦略を、ヤコポ(Jacopo Etro)がホームラインを担当している。
2年前には「ヴァレンティノ(VALENTINO)」や「バルマン(BALMAIN)」を擁するメイフーラ(MAYHOOLA)がエトロ獲得に興味を示していると報じられたが、エトロ一族の中で意見が割れたため実現しなかったとされている。
「エトロ」の2018年の売上高は2億8500万ユーロ(約370億円)で、情報筋によると約5000万ユーロ(約65億円)程度の負債があるという。
Lキャタルトンは、今年1月にはフランスのアウトドアブランド「ジョット(JOTT)」の過半数株式を取得。3月にはLVMH会長兼最高経営責任者のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)一族の投資会社のフィナンシエール アガシュ(FINANCIERE AGACHE)と共同でビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)の過半数株式を取得するなど、ファッション分野のブランド獲得に積極的な姿勢を見せている。