環境省は7月20日、オンライン会見を開き、環境省をパートナーにファッション企業連携のプラットフォームとしてのアライアンスを8月初旬に始動されると発表した。9月初旬に企業へ参加を呼び掛け、11月に第一回総会を行う。
これは20年9月に立ち上げた「ファッションと環境」タスクフォースに参加した企業の呼び掛けによって、“適量生産・適量購入・循環利用によるファッションロスゼロ”と“2050年カーボンニュートラル”を目標にする。会員企業が定期的に会議を開催し、サステナブルファッションに関する知見の共有と協働、国内外の重要動向の先行把握、業界内の共通課題を改善するために必要な政策提言を行う予定だ。
現在、参加を表明している企業は、アダストリア、伊藤忠商事、倉敷紡績、ゴールドウイン、帝人フロンティア、東レ、豊島、日本環境設計、ユナイテッドアローズで、アシックスは賛助会員として参加する。事務局は、ユニステップスと伊藤忠ファッションシステムが担う。
同アライアンスへの参加にはコミットメントが必要で条件は以下の通り。
1.パリ協定に賛同し、脱炭素型へのビジネスの移行を促進する。
(逆行する事業については脱却に努める)
2.2050年までのネットゼロ宣言やRE100、EP100、EV100などへの参加に努める。
3.サプライヤー・顧客に働きかけ、バリューチェーン全体の透明化に努める。
4.適量生産・適量購入・循環利用を推進する。
5.アライアンスの一員として、政策関与やサステナブルファッションの協働に賛同・協力する。
会見では同アライアンスの参加企業はそれぞれコメントを発表した。アシックスのCSRサステナビリティ部井上聖子氏は、「当社はスポーツができる地球環境を守るためにカーボンニュートラルに向けた循環型のモノ作りを進めている。アライアンスでは、アパレルのリサイクルに加えてシューズのリサイクルの確立や、リサイクル以外の循環型ビジネスの確立、当社が加盟する国際的枠組みとの連携について参加企業のみなさまと考え行動していきたい」と話した。
東レの寺井秀徳・繊維事業本部主幹は「いいたいことが2点ある。1点目は、今後、リサイクルやバイオをうたった衣料品がますます増えていくが、消費者に見える化する意味でも、それらの成分含有率を表示する制度を構築していきたい。2点目はファッションロスゼロのためにも重要となる繊維to繊維のリサイクルに関して、ファッション業界全体で取り組む体制を構築したい。高コストになるケミカルリサイクルに関して、税制や助成面での政府のご支援をお願いしたい」と訴えた。
これを受けて小泉進次郎環境大臣は「明日から、G20の会合のためにイタリアのナポリとロンドンに行く。イタリアといえばミラノコレクション、ファッションの国だ。環境大臣会合の前の6月7日、循環型ファッションに関するオンラインワークショップも開催された。このワークショップでは情報とグッドプラクティスの共有、そして官民連携や国際連携、必要な技術へのデータへのアクセス、相互学習、能力開発などの重要性について共有されたと聞いている。G20に行く直前に立ち上がったこのアライアンスについてはG20の場でも報告していきたい。(東レの)寺井さんからは見える化と税制優遇の話の具体的な政策提言があった。ファッション分野の政策につながる提言をしてもらうことがこのアライアンスの大事な役割だと思う。そういった意見を形にできるようにしたい」と語った。