三陽商会の「ブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジ(BLUE LABEL/BLACK LABEL CRESTBRIDGE)」が復調している。緊急事態宣言期間を除いた3〜4月は、国内客の売上高が19年同月実績を上回った。2021-22年秋冬からは、この間の好調要因である「デザインに強さのある服」(江角泰俊クリエイティブ・ディレクター)をさらに強化すべく、同氏の名を冠した新ライン“ブルーラボ/ブラックレーベル:エズミ(BLUE LAB:EZUMI/BLACK LABEL EZUMI)”をスタートする。
ウィメンズの「ブルーレーベル」のメインラインの新作は、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館がデザインの着想源。シグネチャーのタータンチェックに異なる柄の別布を重ねたキルトスカート、ボリュームスリーブのニットカーディガンなど、オーセンティックなデザインをベースにひねりを加えたアイテムがそろう。メンズの「ブラックレーベル」では、従来のスポーツテイストにアウトドアやミリタリーの要素を融合させた。
就任から1年が経ち、「自分の掲げてきたデザインやブランド戦略がいい方向に向かっているという手応えが出てきた」と江角氏。異素材使いや配色などを従来より大胆にし、「大学生っぽいイメージから離れ、アーバンなイメージを研ぎ澄ませた」ことが新客を取り込み、顧客の目にも新鮮に映った。
パッと目に映えるデザイン性はSNSなど発信面にも寄与した。昨年10月にオープンした原宿旗艦店から計8回にわたって発信したインスタライブも、一定の反響を得た。「放送終了後、全国各地のお客さまからのお問い合わせの電話が鳴り止まないこともあった」。
“ブルーラボ:エズミ”は「(メインラインと比較して)よりコンテンポリーでラグジュアリーな雰囲気を加えた」という17型をラインアップ。英国のトラッドなコートをベースに腕部分をMA-1ジャケットに切り替えたアウター(4万9500円)、併せて着用するとロングトレンチコートのように見えるショートジャケットとワンピースのセット(6万1600円)、5通りの着こなしに対応するスカート(3万5200円)などをそろえる。“ブラックレーベル:エズミ”は、キルティングやボアなどを随所に用いて遊び心を効かせた。
「お客さまに求められるためには、他にない“強さ”を持ったデザインが必要だ」と江角氏は強調する。これは現状のマーケットにおける差別化だけでなく、アフターコロナも見据えての戦略でもある。「ワクチンの接種が始まり、観光客が戻ってくる日もそう遠くない。その時、(観光客に)しっかりと刺さるものを店に並べておけるかが勝負になる」。