ゲオホールディングス傘下のオフプライスストア、ラックラック(LUCK RACK)は7月22日、東京23 区で初となる「ラックラック 東急プラザ表参道原宿店」をオープンする。運営するゲオクリアの川辺雅之社長に、思い切った出店のわけなどを聞いた。
WWD:オフプライスストアは日本では郊外型が主流で、ラックラックも横浜の港北インター近くに1号店を出店した。今回、一気に2段、3段飛ばしで原宿のど真ん中にオープンした印象だが、その理由は?
川辺雅之ゲオクリア社長(以下、川辺):コロナの影響が大きい。原宿・表参道エリアでの退店は多く、また商品がプロパーで売れないことで当社への問い合わせが増えている。これらはいずれもラックラックにとってチャンスであり、逆に平時であれば考えられなかった。実際、中長期計画にも原宿・表参道エリアへの出店は含まれていない。
WWD:とはいえ、いずれは同エリアへの出店を考えていた?
川辺:考えていないことはなかったが、それは店舗数が100(表参道原宿店が13店舗目)をクリアし、世の中の認知度がもっと高まってからの想定だった。
WWD:具体的に何年先を想定していた?
川辺:ざっと5年後だろうか。しかし物件は水物、縁だ。これを逃したら次はないかもしれないと思い、またベストな立地だったため決断した。
WWD:それほどオフプライスストアに可能性を感じている?
川辺:オフプライスストア先進国のアメリカには、年間売り上げが4兆円を超える業態もある。また同国のオフプライス流通はアパレル全体の15%に達しており、日本でも同様に発展した場合、その規模は1兆円を超える。しかし、日本での認知はまだまだ低い。そのため、発信力のある若年層にリーチすべく、表参道原宿店の出店を決めた。ラックラックの既存店にはないラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドをそろえるなど、店づくりも工夫した。客単価も約2倍を見込んでいる。
WWD:ワールドやオンワード樫山、ビームスもオフプライスストアを運営するが、いずれもメーカーだ。一方で、メーカーでないゲオグループはオリジナル商材を持たない。商品はどう仕入れている?
川辺:供給元はメーカー7割、小売1割、仲介業者2割だ。2019年に1号店をオープンした際、取引企業は80だったが現在は250まで増えている。
WWD:その内訳は、ラックラック 東急プラザ表参道原宿店で扱う「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」などラグジュアリーブランドでも変わらない?
川辺:その通りだ。
WWD:各ブランドが旗艦店を構える原宿・表参道エリアへの出店で、まわりからのアレルギー反応などはなかった?
川辺:賛否が5:5といったところか。ただ、かつては1:9だったので、風当りの変化を感じる。サステナビリティーへの関心、および社会的ムードの高まりに後押しされている。
WWD:EC化についても聞きたい。
川辺:オフプライス商材は一点物であり、ささげ作業に手間がかかる。EC化には設備投資や人件費などの維持費、送料もかかる。総合的なジャッジから、現在は考えていない。もちろんオフプライスストアの認知が高まり、市場が活性化されれば話は別だ。
■ラックラック 東急プラザ表参道原宿店
オープン日:7月22日
時間:11:00~21:00
定休日:不定休
住所:東京都渋谷区神宮前4-30-3 東急プラザ表参道原宿4階