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各国選手団の服装に沸いた東京五輪開幕式

 東京五輪がいよいよ開幕!紆余曲折あった開会式ですが、選手入場の間は荒れていたSNSからもポジティブな盛り上がりを感じました。生き生きとした選手の表情はもちろん、各国選手団のユニホームもそれぞれのアイデンティティーがデザインに反映されていて素敵でしたね。1本目の記事でも紹介している通り、イタリア選手団は「エンポリオ アルマーニ EA7」が手掛けています。グリーンとホワイト、レッドの“トリコローレ”を日の丸と融合させたデザインに感動しました。

 個人的に最もぐっときたのは「テルファー」がデザインしたリベリア選手団で、次いで「ベン シャーマン」が手掛けたイギリス選手団もかっこよかった。紳士服のAOKIが担当した日本選手団も、みなさんとってもお似合いでしたよね。このように、服を通じて世間が明るくなる瞬間に立ち会えると、ファッションの力を再認識してうれしくなります。ちょっと気は早いですが、閉会式で各国の服装について盛り上がるのが早くも楽しみになっちゃいました。

「WWDJAPAN」副編集長
大塚 千践
NEWS 01

東京オリンピック各国の公式ウエアをおさらい 「アルマーニ」「ラコステ」「ユニクロ」が手掛ける国は?

 東京オリンピックが7月23日に開幕する。競技はもちろん、それぞれの国を象徴するデザインを取り入れたウエアにも注目したい。ここでは、日本やアメリカ、フランス、イタリア、スウェーデン、オーストラリアの全6カ国の代表選手が、開会式・閉会式で着用する公式服装や選手村などで着用する公式ウエアを紹介する。

日本:「アシックス」、AOKI

 日本代表の公式ウエアは、大会ゴールドパートナーの「アシックス(ASICS)」が制作。紙を折って包む「折形」や着物を2枚以上重ねて楽しむ配色「かさねの色目」など、伝統的な技法に着想したオリジナルグラフィックが特徴だ。Tシャツやポロシャツは1枚の生地から型取りするため、同じデザインは1つとしてない。また暑さ対策として、脇などの高温多湿になる場所にメッシュ素材を施す最新技術を開発。前回大会のウエアより5倍の通気性を実現した。ジャケットは誰でも容易に着脱できるマグネットファスナーを使用し、原料の一部には日本全国で回収した約4トンの衣類から作ったリサイクル糸を使っている。

 開会式や式典で着用する公式服装は、紳士服チェーン大手のAOKIが担当。全選手の体形や要望に応えられるようにオーダーで製作した。白のジャケットは、「工」の字を斜めに崩してつなぎ合わせた伝統柄「工字繋ぎ」を陰影でプリント。ストレッチ性と通気性を併せ持ち、防シワ加工を施した素材を採用している。赤のボトムスは肌ざわりがよく、夏でも快適に着用できる。紺のジャケットは麻100%のニット地編みで、可動性と通気性が高い。これにクレリックシャツと、縁起がいいとされる「七宝柄」「うろこ柄」「縞柄」などの伝統柄を使ったネクタイとスカーフを合わせる。ボトムスは選択性で、男性用はノータックとワンタック、女性用はパンツとキュロットがある。

アメリカ:「ラルフ ローレン」

 アメリカ代表の閉会式ユニホームは、「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」がデザインした。白と青、赤を基調とした爽やかなコレクションだ。ドローストリングジャケットとポロシャツ、デニムパンツの組み合わせで、右胸には大会エンブレムを、左胸にはブランドロゴを配置。環境に配慮した素材使いもポイントで、ジャケットとストライプベルトは、ペットボトルを再生したリサイクルポリエステル“リプリーブ(REPREVE)”を使用している。デニムパンツには、植物由来の素材や農業副産物など再生可能な資源から作る人口レザー“ミルム(MIRUM)”のパッチが付く。レプリカの販売も行い、収益は全てアメリカ代表の支援に活用される。

フランス:「ラコステ」

 フランスの公式ウエアをデザインしたのは、ワニのロゴマークで知られる「ラコステ(LACOSTE)」。上部にトリコロールのパネルを付けたストレッチポロシャツにネイビーのタフタパンツ、軽量なホワイトパーカのコーディネートだ。パーカは風になびくフランス国旗からインスピレーションを得て、軽い素材でボリューム感を出した。また日本へのオマージュとして着物風のスリーブを採用している。首の内側には、ブランド創設者で7度のグランドスラム優勝を果たしたルネ・ラコステ(Rene Lacoste)が大切にしていた、“RIGOUR(厳格さ)”“PERSEVERANCE(忍耐力)”“TENACITY(粘り強さ)”“ CONFIDENCE(自信)”の4つの言葉をあしらっている。

イタリア:「エンポリオ アルマーニ EA7」

 イタリア代表が表彰台で着用する公式ウエアは、「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」のスポーツライン「エンポリオ アルマーニ EA7(EMPORIO ARMANI EA7)」が手掛けた。フロントには、「日の丸」をイタリア国旗の緑、白、赤で再解釈したグラフィックを施し、右胸にはブランドロゴを、左胸には大会エンブレムをプリント。背中には漢字をイメージした書体で“ITALIA”の文字をあしらっている。ポロシャツとトラックジャケット、トラックパンツなどをそろえる。

スウェーデン:「ユニクロ」

 スウェーデン代表の公式ウエアは、2019年に同国とパートナー契約を結んだ「ユニクロ(UNIQLO)」が提供する。スウェーデンの国旗をイメージしたグラフィックや、イエローとブルーを基調にしたシンプルなデザインを採用し、ポロシャツやフードジャケット、パーカ、トラックパンツなどを用意した。選手やアンバサダーからのフィードバックを元に、超速乾素材“ドライ EX”や“ウルトラストレッチ”といったユニクロの機能性素材を使用。ウエアの一部にはペットボトルから生まれた再生ポリエステル素材を用いている。

オーストラリア:「アシックス」

 「アシックス」は日本だけでなく、オーストラリア代表の公式ウエアも手掛けている。同国を象徴するグリーンとゴールドの配色をベースに、折り紙をモチーフにしたグラフィックを随所に配置。先住民族のタトゥーのような模様を施したTシャツは、アボリジニのアーティストでボクシング代表としてオリンピック出場経験もあるポール・フレミング(Paul Fleming)がデザインしたもの。あらゆる国や背景、文化の人々を結びつける集会所をイメージしたグラフィックだ。

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NEWS 02

ユニクロのスウェーデン代表選手団の特別公式ウエア、追加発表

 スウェーデンオリンピック委員会は、東京五輪・パラ五輪でスウェーデン代表選手団にユニクロが提供する特別公式ウエアを追加発表した。ユニクロのパリR&Dセンターを率いて「ユニクロ ユー(UNIQLO U)」を手掛けている、クリストフ・ルメール(Christophe Lemaire)がデザインした。

 ユニクロは2019年1月に、スウェーデンオリンピック・パラリンピックチームと4年間のパートナー契約を締結。スウェーデン代表選手団と関係者にウエアを提供している。

 今回追加発表したウエアは、回収ペットボトルから作った再生ポリエステルを一部に使用した“ドライEXポロシャツ”、再生ポリエステル100%の“イージーアンクルパンツ”、アッパーに和紙繊維を使用した“Uスリップオンスニーカー”の3アイテム。スウェーデンの国旗の色であるイエローとブルーからインスピレーションを受けたという微妙に異なる4色展開で、ルメールらしい少しくすんだ色調がポイント。「新しく機能的であり、美しく、着るすべての選手にとって快適なLifeWearであること(中略)。東京での瞬間だけでなく、選手たちにその後も着続けたいと思ってもらえるようなウエアができた」とルメールはコメントしている。

 今回発表した商品の一般発売は予定していないが、ユニクロは東京五輪・パラ五輪にも出場するスウェーデンのトップアスリートらの声を生かして開発した商品群「ユニクロプラス(UNIQLO +)」を6月から販売している。

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