ストーリーアンドカンパニー(東京、細川拓社長)は、循環型ファッションのコミュニティー事業「ニューメイク」に乗り出す。ファッション企業から余剰在庫の衣料品や靴などを提供してもらい、ニューメイクの会員が手を施して、新たな作品としてアップサイクルする。第1弾の「ミッソーニ(MISSONI)」を手始めに、有力ブランドの余剰在庫やサンプル品を扱っていく。
東急不動産との連携によって、コミュニティーとモノ作りの拠点となる「ニューメイクラボ」を東京・原宿に26日開いた。東急不動産が所有する60平方メートルの店舗物件を無償で借り受ける。ブラザー販売から提供されたミシンなど機械のほか、素材や副資材もそろえ、本格的な工房として機能する。
ニューメイクの主役となるのは現在210人いる会員だ。ファッション関連のクリエイターから学生、一般人まで服作りの経験の有無は関係なく、誰でも無料で登録できる。ニューメイクラボを作るにあたっても、内装やアイデアや実際の改装工事まで会員とストーリーアンドカンパニーが協力して行った。細川社長は「完成した作品を販売するか、展示品にするか、あるいはレンタル品にするか。販売した際、価格の何割を作り手に渡すか。そんな運営に関する諸々も会員の皆さんと話し合って決めていきたい」と話す。
第1弾の「ミッソーニ」のアップサイクルは若手のクリエーター5人が手がけた。色鮮やかなニットのパーツを縫い合わせてドレスにしたり、ワンピースをライダースジャケットに作り替えたりした。日本で同ブランドを展開する三喜商事の田原信宏部長は「『ミッソーニ』に触れたことのない若いお客さまや、サステナビリティに関心の高い方たちとの接点にしたい」と話す。欧州の高級ブランドは、かつてはリメイク品などに対してアプルーバル(承認)の高い壁があった。だがサステナビリティの機運の高まりによって状況は変化している。
ニューメイクラボで扱うブランドは3週間から1カ月の単位で切り替える。今後は「オールド イングランド(OLD ENGLAND)」「ニューバランス(NEW BALANCE)」「デサント(DESCENTE)」「コールマン(COLEMAN)」「アディダス(ADIDAS)」などの提供を受ける予定だ。