創設100周年を迎えた「グッチ(GUCCI)」は、ブランド発祥の地イタリア・フィレンツェと姉妹都市の関係にある京都市の有形文化財、旧川崎家住宅を舞台とした体験型エキシビジョン「グッチ バンブーハウス」を開催している。8月15日まで。伝統的な茶室と洋間など、和洋の建築様式が調和した空間で見せるのは、1947年の誕生以来、世代を超えて愛され続けるアイコンのバンブーハンドルをフィーチャーしたバッグ。50年代のアーカイブから最新の“グッチ ダイアナ”まで新旧の名作が勢ぞろいした空間で、西洋と東洋、過去と現在、そしてイタリアと京都の融合を楽しみたい。
手付かずの文化財に
新時代や生命再生の息吹を
「グッチ バンブーハウス」のオープンに際して「グッチ」は、有形文化財でありながら長年手付かずだった旧川崎家住宅を「復興」や「再建」と呼んでも良いほどに再生させた。庭園には竹を植え、内装は現状復帰できるように元来の床や壁の上に緩衝材を敷き詰めて新たな床や壁を設けている。
旧川崎家住宅は、1926年(大正15年)に完成。日本の建築家が設計して数奇屋大工の棟梁らが完成に導いたが、一方で当時最新のフランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)風のデザインが取り入れられ、洋間と茶室、大塀造とレンガの外壁などが共存している。日本とヨーロッパの建築様式や意匠が共存した京都の有形文化財を、100年に近い時を経てイタリア発祥の「グッチ」が蘇らせ、そこに新旧のバッグを並べることで時代の新たな息吹を感じさせる空間が完成した。クリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele )率いる「グッチ」は今秋、ハート(心臓)を1つのシンボルに用いて新時代や生命再生の息吹を感じさせる“グッチ アリア”コレクションを発売する。「グッチ」により新たな息吹が吹き込まれた旧川崎家住宅は、“グッチ アリア”コレクションのお披露目にもぴったりの空間だ。
最新コレクションのムービーから
茶室まで!
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「グッチ バンブーハウス」は、大別すると7つの空間に分けられる。竹林と石畳の通路を経て中に入ると、まずは「グッチ」のインテリア コレクション「グッチ デコール」で彩られたライブラリーが出現。その奥は、茶室の「竹節庵」。その名前は「グッチ」が目指すダイバーシティーに通じる「松に古今の色無し、竹に上下の節あり(竹の節のように互いに独立した自我を持ちながらも差異を認め合うこと)」という禅語に由来している。
竹の庭&奥の庭では、京都の伝統的な坪庭を自然の竹林に見立てて再現した。苔むす地面に目をやると、そこには大地に根付いた竹の地下茎。これこそ「グッチ」が1947年、バンブーハンドルに用い始めた素材だ。エキシビション ルームには、歴代のバンブーハンドル バッグを並べた。「グッチ」の職人は第二次世界大戦後で物資が不足していた状況下でも高品質のハンドバッグを作りたいと願い、竹をバーナーで熱し、カーブさせ、艶やかに磨き上げることでハンドルに仕上げた。「グッチ バンブーハウス」には、1950年代以降の貴重なアーカイブが並んでいる。正客を迎える床の間に飾ったのは、四代目田辺竹雲斎の作品。竹を使った立体作品を発表し、国内外で高い評価を得ている人物だ。
シネマルームでは、ブランド創設100周年を祝う“グッチ アリア”コレクションのムービーを上映。創設者のグッチオ ・グッチ(Guccio Gucci)がロンドンのホテルで働き始めて以降の歴史を振り返りつつ、絶え間なく再生し続け100年を経た「グッチ」、そして1世紀に渡り携わる人、愛する人々の生命力を賛美する。
サロンでは、6月に登場したバンブーハンドルの最新バッグ“グッチ ダイアナ”が一堂に介した。イタリアから京都、100年前から現在、そして未来へと続く新時代の息吹が感じられる。
“グッチ ダイアナ”は、
歴史を再解釈したトートバッグ
最新バッグの“グッチ ダイアナ”は、アレッサンドロ・ミケーレが再解釈したバンブーハンドルのハンドバッグだ。目を引くのは、ネオンカラーのレザーベルト。これは、オリジナルのバンブーバッグに付属していた、ハンドルの形状を維持するためのバンドにインスピレーションを得たものだ。時間が経つ中で自然と元に戻ろうとするバンブーのハンドルはかつて、その形状を維持するためバンドを装着していたという。アレッサンドロは、そんな「グッチ」の歴史とクラフツマンシップに着目し、トートバッグのデザインに組み込んだ。
京都では清水寺や仁和寺も
“ハッキング”
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「グッチ」は、旧川崎家住宅の他にも、7月には清水寺を“ハッキング”して、最新“グッチ アリア”コレクションをお披露目し、仁和寺 宸殿ではハイジュエリーコレクション「ホルトゥス デリキアルム」とファッションウォッチを展示した。“ハッキング”は、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のシルエットを「グッチ」のロゴやモチーフでデザインしたアイテムをはじめ、“グッチ アリア”コレクションの中で重要なコンセプト。それは、ハッキングに近い刷新を繰り返し100周年を迎えた「グッチ」の革新性を象徴する言葉でもある。「グッチ バンブーハウス」を訪れ、その革新性はもちろん、歴史やクラフツマンシップ、イタリア・フィレンツェと京都市の友好関係などに思いを馳せたい。
会期:8月15日まで
会場:旧川崎家住宅
住所:京都府京都市中京区新町通六角上ル三条町340
時間:11:00~20:00(最終入場は19:00まで)
入場:無料、予約制
休館日:毎週水曜
グッチ ジャパン クライアントサービス
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