サブスクが多様化してきた
小田島副編集長が始めてくれた新連載「今月の好調アイテム」には、気づかされることが多々あります。常々「10万円のコートが『安い』ってナンダ!?」「30万円の時計を安易に『お値打ち』って言うヤツは誰だ!?」と思い、「世間一般の感覚、忘れるべからず」と自戒していますが、それでも仕事柄ラグジュアリーの魅力に触れる機会は多く、(独身であることも手伝って)服飾エンゲル指数はかなり高め。マイノリティーであることは、強く強く自覚しています。そんな中、この「今月の好調アイテム」連載は、リアルを突きつけてくれるので絶対アクセスするよう心がけています。
月額制レンタル「メチャカリ」の6月の人気アイテムなんて、面白すぎました。まずは「レンタルで指定されたアイテムTOP5」と、「レンタルした結果売れたアイテムTOP5」の価格帯の違い!皆さま、実に賢く商品を吟味しているのですね。「レンタルで指定されたアイテムTOP5」の平均価格帯はおよそ1万円。一方、「レンタルした結果売れたアイテムTOP5」の平均価格帯は5000円。この価格差には、ヒントが詰まっている気がします。「レンタルした結果売れたアイテムTOP5」の評価ポイントを読むと、素材感や着心地、アレンジ、通年着用のうち2つはクリアしている印象ですね。一方の「レンタルで指定されたアイテムTOP5」は、もうちょっとデザイン志向に思えます。
「そっか、浴衣もサブスクか」と思っていたら、「就活バッグもレンタル」というニュースも飛び込んできました。なるほどオンライン面接が増えると、就活バッグって本当に数回しか登板しない可能性がありますね。コレは、ものすごく需要がありそう。記事内の通り、エースにとっては若年層にリーチする手段になりそうです。
> バッグのエースが就活生向けのバッグレンタルサービスを開始
ビューティのサブスクは、完全に「長期にわたるエンゲージメント」の手段になり始めました。日本ロレアルにおけるプレステージブランドのサブスクは、「ランコム」の“ジェニフィック”や「YSL」の“ピュアショット”など、スキンケアのヒーローアイテムに特化。続けていると現品サイズのオマケが届く、なんてお得感満載のケースも多数です。確かに新客獲得の手間暇を考えれば、現品サイズのオマケなんて安いモノで、エンドユーザーにも魅力的ですよね。
改めてサブスク、レンタルには、いろんな需要がありそうですね。試着感覚だったり、「数回限りだから」という割り切りだったり、身の回りのモノを最小限に留めたいという思いだったり、「めんどくさい」という不便や不満の解消手段だったり、もちろんエコ的な志向の象徴だったり。いろんな需要があるなら、いろんなビジネスに繋がりそうです。
ちなみに、私たちも新しいサブスクを始めています。その名は、ライトプラン。わかりやすい!週刊紙は届きませんが、ウェブの有料会員限定記事は読み放題というプランです。想定するのは、「会社で週刊紙は定期購読しているけれど、在宅が増えたし、そもそも、なかなか回ってこなくて……」という業界人の皆さんと、「『WWDJAPAN』のビジネスや視座に富んだ記事、読んでみようかな?」という感度の高い皆さん。でも、私たちが想像さえしていない、潜在的ニーズにも出合えそうな気がします。
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