“LINE ミニアプリ”を用いたアプリで、同売り場のLINE公式アカウント“Keio BEAUTY LINE ”の友だち登録をして京王パスポートカードのIDと連携すると、会員限定サービスが利用可能となる。
アプリからECに簡単にアクセスできるため、コロナ禍でも購入機会の増加につながるほか、会員限定の情報発信や特別優待などのサービスで売り場のファン作りにも貢献している。
具体的には、毎月第3金曜日からの3日間は、京王パスポートカードポイントが+5%つく優待を実施するほか、アプリ内で特集した商品のサンプルを配布。アップポイントなどお得に買い物できる優待スケジュールと、新商品情報が一目で分かるコスメカレンダーや、担当者がすすめるアイテムを特集する月替わりのページなど、アプリ会員限定向けの内容を拡充している。紙カタログをデジタル化して配信するなど、このアプリ1つで化粧品売り場の販促情報の全てが分かるように情報を集約した。
「アプリの立ち上げから4カ月が経過し、現在は上層階に点在する化粧品ショップも対象ブランドに追加。フロアやカテゴリーを問わず“美”に興味を持つお客さまにとってより選びやすく魅力的なツールを目指しており、当初の狙い通り20~30代顧客の利用が伸長している。またコロナ禍では、非店頭で顧客と接点を維持し続けられるツールとして特に力を発揮した。2019年に化粧品売り場で10万人近くあったハウスカード会員の購買が、コロナ禍の1年では約6割に減り、『店頭に行きたいけれど行けない』という声が多数届いた。そこで、ECや電話注文へのアクセスのスムーズさにもこだわった。同アプリを顧客接点の起点とし、店頭と非店頭を合わせて、売り上げを19年度の水準にまで戻すことを当面の目標にしている」と、野々村恵子・新宿店 婦人・紳士服飾部 化粧品売場担当者は話す。
高齢層の顧客が比較的多いこともあり、電話注文の利用率が高いことも特徴だ。「最初の緊急事態宣言が明けた際、最も多かったのが『電話で購入できないか』という問い合わせだった。そこで、ECに加え電話機能もアプリに追加。電話注文承りページへの導線も短くし、ショップ一覧からダイレクトでカウンターにつながり、美容部員と話すことができる。デジタルとアナログの利点を組み合わせることで顧客利便性が向上した。また、アプリというと新たにダウンロードして使うものをイメージするが、“LINE ミニアプリ”を活用したのも、幅広い世代でLINEの利用率が非常に高いことを考慮してのことだ。そういった配慮も奏功し、現在は公式LINEの友だち登録が1.5万人を超え、その8割強がアプリ会員になってくれた。しかもアプリ会員の8割近くは買い上げも確認できており、アプリ自体も『使いやすい』と好評だ」。
今後は、アプリ会員限定サービスをさらに充実させていきたい考えで、オンラインカウンセリングや来店予約などの機能を、近々に実装させていく計画だ。
また、アプリ会員の情報を分析し、対象をセグメントした発信も行っていく。「閲覧情報、買い上げ情報などを分析。優良会員に向けたお手入れ会の予約受け付けや限定キット情報、来店頻度に応じたリリース配信などを予定している」。