エイチ・ツー・オー リテイリングは28日、24年3月期を最終年度とする新中期経営計画を発表した。同期末において営業利益170億円(21年3月期は44億円の赤字)を掲げる。浮上のカギとなるのが、中核会社である阪急阪神百貨店の百貨店事業の再建だ。足元で大きなダメージを被っているが、24年3月期には事業単体でコロナ前の水準(20年3月期:売上高4732億円、営業利益115億円)を上回る売上高5300億円、営業利益135億円を目指す。
計画全体での投資金(950億円)の多くを百貨店事業に割く。消費者のライフスタイルの変化、都心店を中心とした集客力の低下を前提に、ビジネスモデルのOMO(オンラインとオフラインの融合)を加速する。EC(ネット通販)とウェブ決済の「リモオーダー」経由の売上高は24年3月期に現在(21年3月期:84億円)の約3倍となる250億円を目指す。ウェブカタログを充実させ、デジタル接客環境を整備する。デジタルトランスフォーメションなどITの投資にグループ全体で260億円の投資を計画する。
リアル店舗は関西の主力店舗を中心に、立地や館の特性など、強みとなる部分に磨きをかける。2021年秋に建て替えグランドオープンを控える阪神梅田本店は「食」に焦点を当て、コミュニティー単位でファンを獲得できるコンテンツ開発に注力。同店には150億円を投資する。神戸阪急はエリアの特色を生かした都市型百貨店、高槻阪急はショッピングセンターをミックスした郊外型百貨店のモデルケースとすべく、両店のリニューアルには計100億円を投じる。
業務効率化による利益体質の改善も進める。今秋には新ロジスティクスセンターを開設し、物流効率や在庫オペレーションを向上。業務委託や人材派遣、宣伝費の削減などにも着手する。