REPORT
10周年を迎え、地に足を付けた進化を続ける
「スリー ワン フィリップ リム(3.1 PHILLIP LIM)」は今年で10周年を迎える。インビテーションには“STOP AND SMELL THE FLOWERS (立ち止まって花の香りをかいでみよう)”というメッセージとともにアジサイの花の種が小さな瓶に入っていた。
「今回のテーマに辿りついたのは、まわりが忙しさに慌ただしくなっているのを感じたからなんだ。もう少し立ち止まって、いろんなものを見たり感じたりする時間が必要なんじゃないかって」とリム。
会場に入ると山型に盛られた土がいくつもコンクリートの床の上に作られている。10周年を華美に盛大に見せるのではなく、できるだけシンプルにそぎ落とした会場は、アーティストのマヤ・リーンとともにフィリップ・リムが考えたアイデアだ。この土は、科学肥料を使用しておらず、ショーが終わるとニューヨークの公共の植物園などに寄付することになっているという。
コレクションではさまざまな花がアイテムに落とし込まれている。フラワープリントのミドル丈ブーツやハイウエストのワイドパンツ、襟や袖口に施した、花びらを連想させるようなラッフル使いのトップス、絵画のような鮮やかな植物柄のドレスといった具合だ。遠目から見ると巨大な押し花のように見えるリアリティのある花から繊細で可愛らしいプリントまで表情豊かに見せる。花柄にピンストライプの柄を組み合わせたり、スカートの裾をアシンメトリーのシルエットにしたりアレンジを加える。カラーはオリーブやカーキ、マスタード、ネイビーなどの、アースカラーにシルバーやゴールドのメタリックでアクセントを付けた。
ショーのフィナーレで登場したフィリップ・リムは、10年間これまで共に歩んできたウェン・ゾーCEOに駆け寄り、感謝のハグをすると大きな拍手に包まれた。