花王の2021年1〜6月期連結決算(国際会計基準)は、衛生関連製品を中心とした需要拡大の反動を受けて日本のトイレタリー市場が前年同期を下回ったほか、コロナの影響で化粧品市場が回復していないものの、中国の好調継続や国内での化粧品のデジタル施策が奏功し、売上高が前年同期比1.2%増(実質0.6%減)の6752億円、営業利益が同5.3%減の706億円、純利益が3.8%増の525億円だった。
事業部別では、コンシューマープロダクツ事業(ハイジーン&リビングケア事業、ヘルス&ビューティケア事業、ライフケア事業、化粧品事業を総称)の売上高が同1.2%減(同2.7%減)の5442億円だった。化粧品事業は、国内はニューノーマルに対応した化粧提案やデジタル施策により「ケイト(KATE)」の“リップモンスター”や「デュウ(DEW)」の“クリアクレイフォンデュ”などヒット製品を創出。しかしインバウンド需要の消滅や緊急事態宣言延長による市場回復の遅れからメイクブランドが苦戦した。中国は「フリープラス(FREEPLUS)」「キュレル(CUREL)」がECで好調に推移。また、欧州はロックダウン緩和による市場回復とECの好調から、売上高が同0.9%増(同1.5%減)の1106億円だった。
ヘルス&ビューティケア事業は、米国のヘアサロン向けプレステージブランド「オリベ(ORIBE)」がECを中心に好調に推移。欧州も市場が回復し、売り上げが伸長した。また、ハンドソープや手指消毒液など衛⽣関連製品の需要が米州では引き続き高かったものの、日本では市場が縮小し売り上げが減少。マス向けのヘアケア製品もヘアカラーが振るわず、売上高は同1.2%減(同2.6%減)の1740億円だった。
21年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比3.5%増(実質2.0%増)の1兆4300億円、営業利益が同0.8%増の1770億円、純利益が0.7%増の1270億円を見込む。