資生堂の2021年1~6月期連結決算は、中国や欧米を中心とした海外事業の成長が加速し売上高が前年同期比21.5%増の5076億円だった。営業利益が230億円(前年同期は34億円の赤字)、経常利益が280億円(同63億円の赤字)。「ドルチェ&ガッバーナ ビューティ(DOLCE&GABBANA BEAUTY)」のライセンス契約解消に伴う特別損失を計上したことから純損益は172億円の赤字(同213億円の赤字)となった。
事業別の売上高は、日本事業が同1.1%減の1488億円。スキンケアやベースメイクカテゴリーはシェアを拡大。Eコマースの売り上げも前年を上回ったものの、緊急事態宣言下での小売店の時短営業や外出自粛に伴う消費マインドの低下、来店客数の減少などの影響を受けて前年を下回った。
中国事業は、オフライン・オンラインとも成長し売上高が同44.1%増の1441億円だった。19年度比でも約30%増と伸長。「シセイドウ(SHISEIDO)」「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」などスキンケアブランドを中心にマーケティング投資を強化したこと、618商戦でもプレステージを中心に高い支持を集め同60%増超となったことなどがけん引した。
トラベルリテール事業は、中国の海南島を中心に成長を遂げ同12%増の578億円だった。そのほか、米州事業はメイクアップも含め全カテゴリーで改善し同46.7%増の538億円。欧州事業がスキンケアやeコマースが加速し同47.1%増の514億円、アジアパシフィック事業が同19.8%増の313億円、プロフェッショナル事業が同32%増の74億円、その他が同5.7%増の127億円だった。
魚谷雅彦資生堂社長兼CEOは「スキンビューティブランドの強化やDX加速、パーソナルケア事業の移管などコロナ禍を機会に変え、収益基盤を強化した成果が得られた。今期は変革と次への準備期間と捉え、23年の完全復活への足固めを強める」と述べた。
21年12月期の通期の売上高は前期比15.9%増の1兆670億円、営業利益が同80.4%増の270億円、経常損益が180.1%増の270億円、純利益が355億円を見込むものの、ワクチン普及による経済活動の本格回復や全世界で変異株の拡大など不透明感があるため然るべきタイミングで改めて公表する。