モデルや女優など幅広く活躍し、“まえのん”の愛称で知られる前田希美がディレクションするコスメブランド「エヌエム((NM))」が7月にデビューした。第1弾では、自然体で飾らないニュートラルな仕上がりのリップ(全4色、各税込3520円)とアイシャドウやチーク、ハイライターなどに使え、パウダー、クリーム、ラメの3種のテクスチャーをそろえたマルチカラー(全8色、各税込2750円)をラインアップする。
SNSではファッションやビューティなどの情報を日々発信しており、総フォロワー数は60万人を突破。その中で女性ファンは8割と、前田のスタイルに憧れを持つファンも多い。コスメコンシェルジュの資格を取得するほど大のコスメ好きでもある前田に、ブランドのこだわりを語ってもらった。
WWD:コスメブランドを立ち上げた経緯は?
前田希美(以下、前田):18年にファッションブランド「エヌウィズ(N WITH.)」を始めてから、自分の「これ、かわいい!」という感覚や判断に自信を持つことができたので、今なら大好きなコスメを自信を持ってお届けができると思い、立ち上げました。
WWD:もともと化粧品に興味があった。
前田:12歳の時からモデルの仕事をしていて、その時からプロのヘアメイクさんにメイクをしてもらうことが好きでした。撮影で気になったコスメは品番を控えてすぐ買いに行ったり、気になったコスメはすぐ試してみたり。コスメはずっと大好きです。
WWD:「エヌエム」は、自身の名前のイニシャルを付けたブランド名でもあり、コンセプトである“Nude Modern(ヌードモダン)”の意味合いも込められている。
前田:「肌になじむけど、おしゃれ」なアイテムを作りたく、“Nude Modern”をコンセプトに掲げています。その言葉の通り、“ヌード”には肌や色気、“モダン”にはトレンドやエッジの効いたおしゃれといった意味があります。「美しい生活に溶け込むような佇まいをつくる“ヌード”と“モダンが似合う女性に」という思いを込めています。それと、ブランドと一緒に私自身も成長していきたいので、未来を見据え、二段階先の“かわいい”をイメージしています。このコスメを使ったお客さまが「大人っぽくなったね」「きれいになったね」と言ってもらえるような、“上”のかわいさを意識しています。アイテムにもそれぞれ意味を持たせたネーミングをつけているので、そこにも注目してもらいたいです。
WWD:第1弾ではリップとマルチカラーアイテムをラインアップ。開発には1年以上かかったという。
前田:1日中メイクをしていると疲れてしまうことがあるので、軽い付け心地であること、それと肌から浮かず肌なじみのよい点にこだわりました。自分が欲しいと思えるアイテムを実現したかったので、自分で試して少しでも「なにか違う!」と思ったら、すぐ変更しました。色を優先すると質感が違ったり、質感を重視するとイメージした色と違ったり、バランスを取るのが大変でしたね。5〜6回は試作しました。
WWD:とにかく“肌なじみ”にこだわった。
前田:両アイテムとも薄付きになるように作りました。メイクに慣れていない人でも使いやすく、特にマルチカラーを使った目もとのグラデーションは、失敗しないと言い切れるくらい自信作です。指とブラシの両方で使えるので、発色の違いも楽しんでいただきたいです。また、“ブルベ”“イエベ”とった既成概念に縛られることなく、どんな人でも使いやすいカラー展開となっているので、気になった色はぜひチャレンジしてもらいたいです。
WWD:マスク着用が当たり前となったいま、リップをしない人が増えている中でなぜリップを展開しようと思ったのか。
前田:私はマスクをしていても、していなくても、リップは絶対付けているし、大好きなアイテムなんです。リップを付けていないだけで自信を持って外出ができないくらい欠かせないアイテムですね。メイクを完成させたときにリップがかわいいとモチベーションも上がるので、今だからこそ「楽しく過ごしてほしい!」という気持ちを込めて開発しました。ただ今回は、マスクに付きにくい処方を優先するのではなく、保湿効果のあるシアバターやホホバ種子油などを配合して、乾燥から唇を守る効果を兼ね備え、グロッシーな艶感を重視しました。
WWD:リップは税込3520円、マルチカラーは税込2750円とプレゼントでも喜ばれる価格設定だ。
前田:ギフトアイテムとしても選んでいただけるように意識しました。自分へのご褒美やプレゼントしても喜ばれるように、外箱のパッケージにリボンをあしらったりとパッケージにもこだわりました。
WWD:今後、作ってみたいアイテムは。
前田:秋口にはハンドクリームやリップバーム、マスカラを、クリスマスにはギフトに合わせたアイテムを用意する予定です。スキンケアの展開も考えていますが、そこには時間をかけてこだわりたいですし、シャンプーや柔軟剤、香水などといった香りもののアイテムも作ってみたいですね。とにかく「やってみたい」を優先して、“ブランドプロジェクト”として様々なカテゴリーに挑戦したいです。
WWD:今後の目標は。
前田:いまはオンラインのみの販売ですが、ポップアップやイベントなどアイテムを試してもらう場を設けて多くの方に「エヌエム」の魅力をお届けしたいです。
朝から夜まで1日を通して、「エヌエム」で始まって「エヌエム」で締めくくるような、ライフスタイルに寄り添える近い存在のブランドでありたいです。