消費者庁は8月11日、ヤーマンが販売するボディケア商品“トルネードRFローラー”について、過去に自社ウェブサイトで配信していた動画が「一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すことにより、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示」であるとして、2020年3月に景品表示法違反(優良誤認表示)に該当するとして課徴金239万円の支払いを命じていたことを公表した。
ヤーマンは「製品自体の安全性や機能について指摘を受けたものではなく、本件広告表示において一般消費者が表示から受ける認識を打ち消すものではないと認定されたもの」としつつ、「昨年3月時点で事態を真摯に受け止め、引き続き再発防止に向けて社内の管理体制・研修の強化に努めている」とコメントしている。
消費者庁によると、問題となった動画は当該商品の使用前後の比較画像を用いて、「たった1カ月で ウエスト-7.5㎝!!」などの文字を表示させるなど、「あたかも、本件商品を腹部に使用すれば、1カ月で腹部の痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた」という。同庁はヤーマンに対して表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す証拠の提出を求めたが、ヤーマンが提出した資料では「当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められない」という。
さらに、動画には「※効果には個人差があります」「※運動と食事制限を組み合わせた結果です」といった注書きも表示されていたが、消費者庁は「一般消費者が(中略)受ける本件商品の効果に関する認識を打ち消すものではない」と判断した。
景品表示法に詳しい渥美雅之弁護士は、「不当表示は身近にあるリスク。違反と認められれば課徴金を課されるし、消費者庁も摘発を強化している。専門部門によるチェックを徹底させ、判断が難しいものは弁護士に相談するといった広告の事前審査体制をしっかりと構築するなど、不当表示をしない社内体制の整備が必須だ」と指摘する。
消費者庁が公表している「景品表示法に基づく法的措置件数の推移及び措置事件の概要」によると、20年を除くと17年以降、課徴金納付命令が下った事案は毎年20件前後発生している。