エルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL以下、エルメス)の2021年1〜6月期決算は、売上高が前年同期比70.2%増の42億3500万ユーロ(約5463億円)、営業利益は3倍以上(同221.8%増)の17億2200万ユーロ(約2221億円)、純利益は約3.5倍(同250.4%増)の11億7400万ユーロ(約1514億円)だった。
19年同期比でも、売上高は28.9%増、営業利益は同50.5%増、純利益は同55.7%増で、コロナ禍前を大幅に上回る結果となった。
なお、競合他社のLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)も、19年同期比で売上高が14.2%増、営業利益は同44.7%増、純利益は同61.8%増だった。「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」を擁するケリング(KERING)も、同じく売上高が5.3%増、EBITDAは同5.0%増、純利益は2.5倍以上(同155.1%増)となっている。
エルメスの21年上半期のカテゴリー別での売上高は、主力のレザーグッズが前年同期比56.1%増の19億9930万ユーロ(約2579億円)、衣料・アクセサリーは同90.8%増の10億2510万ユーロ(約1322億円)、シルク・テキスタイルは同65.8%増の2億7390万ユーロ(約353億円)、香水・ビューティは同63.0%増の1億8410万ユーロ(約237億円)、ウオッチは約2倍(同114.0%増)の1億5880万ユーロ(約204億円)だった。
同じく地域別での売上高は、フランスが同35.2%増の3億4120万ユーロ(約440億円)、フランス以外のヨーロッパは同49.5%増の5億2190万ユーロ(約673億円)、南北アメリカは同98.3%増の6億6790万ユーロ(約861億円)、日本以外のアジア太平洋地域は同81.8%増の21億5300万ユーロ(約2777億円)、日本は同45.5%増の4億6900万ユーロ(約605億円)だった。上半期の売上高全体の半分以上を、日本を含むアジア太平洋地域が占める計算となる。
19年同期と比較すると、現地通貨ベースでの売上高はフランスが16%減、フランス以外のヨーロッパは2.8%減と観光客不在の影響を大きく受けたものの、南北アメリカは同25.3%増、日本は同22.2%増、日本以外のアジア太平洋地域は同69.7%増と好調だった。
アクセル・デュマ(Axel Dumas)最高経営責任者(CEO)は、「上半期の業績が非常に好調で、とてもうれしく思っている。これは(コロナ禍が落ち着いてきたという)状況によるところが大きいが、クリエイティビティーとイノベーションの源泉である従業員、そして絶対的な品質を重視する当社のビジネスモデルの強みが反映された結果でもある。引き続き当社の価値観を守りつつ、先行きが不透明な状況に対応していく」と語った。
コロナ禍が収束するにつれて商品の需要がさらに高まることを予測し、同社では20年12月末から21年6月末にかけて、従業員を新たに約370人雇用している。デュマCEOは、アナリスト向けの会見で、「20年は外出規制や休業措置などの影響で全地域に在庫があったが、それらは21年上半期にあっという間に売れていった。生産面でのボトルネックを解消するべく投資を続けているものの、下半期の成長率はやや緩やかになると予想している」と述べた。