「アットコスメ(@COSME)」を運営するアイスタイルの2021年6月期連結決算は、売上高が前期比1.3%増の309億円、営業損益が6億円の赤字(前期は23億円の赤字)、経常損益が7億9500万円の赤字(同24億円の赤字)だった。ビューティサービス事業のECの業績貢献やグローバル事業をはじめ各事業における徹底した収益性改善により、赤字額を約17億円縮小した。海外における投資有価証券売却益17億円など特別利益18億円を計上したため、純利益は3億7900万円と黒字(同50億円の赤字)に転換した。
事業別では、「アットコスメショッピング(@COSME SHOPPING)」や「アットコスメストア(@COSME STORE)」、大型旗艦店「アットコスメ トーキョー(@COSME TOKYO)」の運営など国内の小売業を中心としたサービスで構成するビューティーサービス事業では、「アットコスメ トーキョー」を除いた既存店舗が収益性改善により黒字を維持し、さらにECイベント「アットコスメ ビューティ デイ(@COSME BEAUTY DAY)」の寄与、MD強化やキャンペーン施策がけん引し、売上高が同19.3%増の182億円、営業損失が2億7100万円(同6億8500万円の赤字)と赤字幅が縮小した。
「アットコスメ」を中心としたサービスで構成するオンプラットフォーム事業の売上高は同9.6%減の69億円、営業利益は同10%増の13億円だった。メーカー側の予算の保守化が継続していることを受け、広告・ソリューションサービスが落ち込んだものの、ブランド向けのマーケティングサービス「ブランドオフィシャル」が伸長した。グローバル事業では、マレーシアのEC運営会社の譲渡や台湾4店舗の閉鎖などが影響し、売上高が24.5%減の46億円、営業損失が1億5700万円(同7億8900万円の赤字)だった。
吉松徹郎社長兼最高経営責任者(CEO)は、「ようやく、メディアの『アットコスメ』からEC『アットコスメショッピング』の流れが定着し、結果につながり始めてきた。また、ECと店舗を併用することによる顧客体験の向上が成果に現れている。来期では、プラットフォームの連携を強化し、ECのさらなる成長を目指す」と意気込む。22年6月期の業績予想は、収益部門であるオンプラットフォーム事業とビューティサービス事業のECに注力し、売上高が同26.7%増の392億円、営業利益が5億円、経常利益が4億円、純利益が同20.9%減の3億円を見込む。
なお、同社は、海外において中長期的なプラットフォームの構築を目指し、19年4月から資本業務提携している韓国のGlowdayz(グロウデイズ)社の子会社化を16日の取締役会で決議した。取得額は8億5500万円で、8月31日に手続きが完了する予定だ。Glowdayz社は、韓国最大規模の化粧品口コミサイト「GLOWPICK」を運営し、アイスタイルのメディア、EC、店舗と親和性が高いとしている。