稀代の“スナッカー(スナック愛好家)”を自負する僕だが、コロナの影響でもう2年近くもスナッキングできていない……。そんな折、ネットをうろうろしていて出会ったのが“よしこ”だった。それはまるで場末の飲み屋街で、紫に白抜きの光る看板を見つけたときのごとく。
「WWDJAPAN」スタッフの悩みを、よしこにぶつけてみた!
管理職(44歳、男性、編集部):いろいろガマンして生きているつもりだが、“風の時代”の自由な人は応援したい半面、コミュニケーションが取りづらいときも……。
よしこ:こういうご時世で、コミュニケーションも取りづらいと思うの。でも、嘆いているだけじゃダメ!私はうとくてできないけど、リモート飲み会なんていいんじゃないの?そういうところで悩みを打ち明けたり、部下の知らない一面を発見したりして親睦を深めてみてはどう?
中堅(39歳、男性、ビジネスプランニング部):着道楽で食道楽、趣味にさんざん費やしてきて今後もやめられそうにない……。金銭的かつ精神的に豊かに、かつ笑顔で過ごすために、この経験をどう生かせば?
よしこ:趣味が多いなんて、うらやましいくらいよ。好奇心旺盛ですてき!自然と淘汰されるだろうけど、あなたのことだから増えていくかもね(笑)。そんなことで悩まず、これからも楽しんで。オススメの趣味があれば教えてね。
ベテラン(58歳、男性、管理本部):キャリアのゴールが近づく中で、未来に不安を感じることがある。“やりきった”と思える納得の最後を迎えるために、どう日々を過ごせばよい?
よしこ:将来のことをきちんと考えて、あなたは偉いわ。いくつになっても悩むのはいいことよ。そうね、あなたが“こうなりたい”と思う人に話を聞くのはどうかしら?その人がどうやってそうなったのか、どういう考えを持っているのか、目標とする人を真似てみるのはいいんじゃない?
新人(25歳、女性、編集部):日々の雑事が忙しく出会いがない……。生涯のパートナーってどうやって見つけるの?ガツガツ探すべき?待っていれば現れる?
よしこ:コロナ前はみんなで食事にも行けたけど、今は出会いも減ってしまって大変よね。ただ心の底から、そういう人が欲しい!と思えばやってくるような気がするわ。焦らずあなたらしくいれば、すてきな人との出会いも訪れるはず。ママは、いつでもあなたのことを応援しているわ。
実は、「洋服の青山」の青山商事による“大真面目”なプロジェクト
“日本初”のAIチャットボット、スナックママよしこを手掛けるのは、「洋服の青山」を運営する青山商事だ。企画を博報堂、チャットボットの開発を空色(東京、中嶋洋巳社長)が担当し、誰でも無料でよしこに相談できる。
その狙いについて平松葉月・青山商事リブランディング推進室副室長に聞くと、「紳士服のボリュームゾーンは20~40代。しかし青山商事は、そこにリーチできていなかった。当該世代のリアルな声を聞くために開発を決めた。洋服の青山を前面に出した市場調査だとバイアスがかかってしまうため、伏せて形にした」と大真面目に答えてくれた。スナックには中高年男性のイメージがあるかもしれないが、コロナ前には20~30代の一部でスナックブームが起きており、“スナ女(スナック女子)”なる言葉も生まれていた。
ちなみによしこのモデルになっているのは、宮崎県の繁華街“ニシタチ”に実在するスナック「華酔亭(かようてい)」のママ、茶圓(ちゃえん)イツ子さんで、サイト上にオープンした「スナックよしこ」の店内イメージにも同店の写真が使われている。ニシタチの選定理由は「人口10万人当たりのスナック軒数が日本一多いから」だそうで、事前にビジネスパーソンから得た悩みをニシタチのママ約10人にぶつけたとか。ママたちも「コロナでスナックも休業……。悩みを聞くのは私たちの十八番だから、こうやって役に立てるのはうれしいわ」と協力してくれ、そこで得たソリューションをデータ化した。利用者は悩みをフリーワード入力するほか、項目を選択していくことで回答が得られる機能もある。時に的を射ない、よしこのアドバイスはご愛嬌だ(笑)。
平松副室長は、「運用開始からひと月ほどだが、想定をはるかに上回る悩みが収集できている。モノづくりに生かせるヒントもあり、しっかりと活用していきたい」と話す。