ファッション

「エコー」がレザーグッズ刷新 次世代消費者“ニューユートピアン”に向けたアプローチとは?

 1963年に設立されたデンマーク発の「エコー(ECCO)」は今秋レザーグッズを刷新し、日本では9月8日に、公式オンラインストアや主要店舗で一斉発売する。コンフォートシューズで広く知られる「エコー」だが、自社レザー工場であるエコー・レザー(ECCO LEATHER)は、ラグジュアリー・ブランドや大手IT企業などに上質な素材を供給している。そのイノベーションをもって製造される新たなレザーグッズには、長年培われてきたクラフトマンシップと機能性、デザイン性が融合されている。サステナビリティ先進国の北欧企業が打ち出す、新コンセプト“ニューユートピアン”とは?バリエーション豊かなアイテムと共に、革新的なコレクションの背景を紹介する。

“レザーの未来”を見据えた
北欧企業の新たな視点

 「エコー レザーグッズ」は2019年に、最高のレザーイノベーションを紹介するためのアクセサリーブランドとしてスタートした。初の刷新で新コンセプトに掲げるのが、次世代消費者を指す造語“ニューユートピアン”だ。定義は「ハイブリッドで現代的なライフスタイルに合うバッグを求める、先進的な人々」。性別にとらわれずに身に着けてほしいという願いから、コレクションにはメンズ&ウィメンズの区別はない。

 デザインのエッセンスとなったのは、“レトロファッション”とも称される1960年代、創業当時の反骨精神とソウルフルな美学。中でも、アーカイブのレタリングを用いたアルファベットチャームが、コレクションにフレッシュな遊び心を添える。

 さらにキャンペーンイメージには、DJやミュージシャンなど、さまざまな職種のモデルを起用。ビジュアルでもジェンダーフリーなリニューアルを印象付けた。

現代生活に合う
ハンズフリーのデザイン

 新たなコレクションは、スマートフォンと最低限の持ち物だけで過ごす現代のライフスタイルをイメージして、ほぼ全てがハンズフリーのデザインだ。古代からある陶器のジョーロにインスパイアされたアイコンの“ポットバッグ”をはじめ、チャームのような感覚で持てるミニポーチやグローブなどのスモールレザーグッズなど、日本では全115点をラインアップする。

 特に、バッグは豊富な質感とカラーバリエーションが魅力で、Dリングを使い互いに組み合わせることが可能。シーンに合わせて、自分だけのカスタマイズを楽しめる。

サステナブル×クラフトマンシップが
可能な理由

 「エコー」の革新性は、サステナビリティを念頭においたモノづくりの背景にある。自社工場でレザー開発から製品化までを一貫するシステムは、トレーサビリティの確立にもつながっている。

 「エコー レザーグッズ」には、自社開発の“ドライタン(DriTan)”レザーを使用。一般的に革のなめしには大量の水を使用するが、同素材は水を必要とせず、廃水や固形の廃棄物を出さない。さらにハードウエアのコンパクト化やリサイクル素材の使用、裏地を採用しないアプローチなど、さまざまな角度からサステナブルなアイデアを盛り込んでいる。

 また同社では、持続可能な環境目標として、2026年までに全廃棄物の90%を回収し、28年までにエネルギーニュートラル化を宣言。30年までに水の排出量を実質ゼロにして、化学物質はバイオベース、リサイクル、再生可能なものだけを使用するという大きな指針を掲げている。

“消費者ファーストで
持続可能なレザーグッズを”

 グローバルプロジェクトである「エコー レザーグッズ」刷新について、ステファノ・ピレピッチ(Stefano Pillepich)責任者に展望を聞いた。

――新コレクションはどのようなアプローチでデザインした?

ステファノ・ピレピッチ「エコー レザーグッズ」責任者(以下、ステファノ):私たちはプロジェクトのローンチにあたり、まず消費者からデザイン、製品、マーチャンダイジングに至るまでくまなく研究を行いました。そこから消費者ファースト・目的主導・革新・持続可能性・信頼性の原則に基づいた、新たなコレクションを製作しました。

――「エコー レザーグッズ」の持続可能性とは?

ステファノ:ローンチ前の綿密な調査から、私たちはエシカルに関心のある若い消費者が何を望み、何が欠けているのかの洞察を得たと感じています。

新たなコレクションには、「エコー」の中で最も革新的な“ドライタン”レザーを使用し、裏地やメッシュなどの部分には、リサイクルコットンやリサイクルポリエステルなどの認定を受けたテキスタイルを使用することで、環境に配慮しています。

――今後のビジネス的な戦略は?
ステファノ:今回の刷新は、私たちが“ニューユートピアン”と呼ぶ、若くて現代的な消費者とつながる機会と捉えています。彼らにレザーのアクセサリーの未来を自信と誇りを持って紹介することを目指しています。次世代の消費者は皆がつながっており、正しいPhygital(物質とデジタル)戦略は成功のために必要不可欠です。

広範囲におけるグローバルストアの存在感に加えて、eコマースの特設サイトやSNSでは、強力なブランド哲学とパートナーシップに焦点を当てたカルチャー主導の専用コンテンツを作成し、全てが連携するエコシステムを実現します。

TEXT : ANRI MURAKAMI
問い合わせ先
エコー カスタマーサービス
0120-974-010