ビューティ

資生堂と花王が第2の皮膚“セカンドスキン”市場を創出

 人工皮膚を肌の上に形成する“セカンドスキン”技術を取り入れた製品が化粧品市場で注目を集めそうだ。2019年に先陣をきった花王に加え、資生堂が世界88の国と地域で展開する「シセイドウ(SHISEIDO)」からセカンドスキン技術を用いて開発した製品を10月1日に発売する。その他にも大手国内メーカーが製品開発を進めており、セカンドスキン市場が活気づいている。

資生堂はメイクした上から目袋を補正

 セカンドスキン技術とは、肌上に人工皮膚を形成し凹凸やシワ、たるみなどを瞬時に隠すことができるもの。資生堂は2018年1月に人工皮膚を開発する「セカンドスキン」事業および関連事業を行う米ベンチャー企業のオリボ ラボラトリーズ(OLIVO LABORATORIES)を傘下に収め、製品開発を進めてきた。3 年の年月をかけ、2400人への実施テストやアメリカで約1500 通り、日本で約2500 通りの実験を重ね、課題だったヨレやはがれを解消した。そこでイノベーティブの技術を採用したシリーズ“ビオ パフォーマンス”から、目袋を瞬時にカバーする製品“ビオ パフォーマンス セカンドスキン”(税込3万5200円)を日本先行で販売。全国の百貨店など約330店舗と公式ECサイト、同社の総合美容サイトのワタシプラスで展開する。

 “ビオ パフォーマンス セカンドスキン”はメイクの上から使用し、まずは目袋に紙おしろいを使用して目もとを抑える。その後2種の美容液を塗布することでセカンドスキンが完成する。それをかなえたのが独自の3D フィックス テクノロジーで、あらゆる方向から立体的に働きかけ凹凸を補正する。ブランド担当者は「目袋のふくらみを物理的に押さえこんで顔の印象を変えるという、まるで美容整形のような効果をもたらすことが大きな特長。特にこの物理的に肌の形を変えられる点、さらに肌と一体化して自然な外観を保ち、長時間効果が持続するよう設計している点に優位性がある」と述べた。

 セカンドスキン技術を用いた最初の製品で目袋に焦点をあてたのは、「目袋は顔の印象に非常に影響がある悩みでありながら、今まで化粧品で解決できなかった悩みでもある」ことからだ。画期的な技術を使って解決すべくチャレンジしたという。今後は海外展開も視野に入れるほか、新製品の開発も予定している。

花王はナイトケアとして海外からも支持集める

 一方、花王は19年12月に“第二の皮膚”技術「ファインファイバー 」を花王の「エスト(EST)」とカネボウ化粧品の「センサイ(SENSAI)」で製品化している。デバイスに化粧液をセットして噴射することで、極細の繊維が肌の上にベールを形成するという新発想のスキンケア“バイオミメシスヴェール”は、発売時から話題を集め多くのベストコスメ賞を受賞した。昨年9月からは、家電お試しサービス「レンティオ(RENTIO)」を通じ機器のレンタルを開始。機器の“ヴェールディフューザー”(税込5万5000円)が高価格帯のため、「『購入前に一定期間試して使いたい』という人に好評で、これまでに2000人以上が利用した。また、自身で自由に試せる場として昨年10月から有楽町のb8taに出店。百貨店のカウンターに行くのはハードルが高いという人、テック好きの人、男性など幅広い客層に試してもらえる機会が増え、認知拡大と購入につながっている」とブランド担当者は述べる。

 3月には第2弾の製品として化粧下地“バイオミメシス ヴェールフィクサー”を発売した。これまでナイトマスクとして提案していたが、塗布した後に化粧下地を塗り、通常のファンデーションを重ねることで日中使いも訴求する。多くの人が悩むシミをカバーできるようになったと好評だ。現在は、さらに顔の広い範囲に使用できるものを開発中だという。

 スキンケアからベースメイクへと用途が広がりつつあるセカンドスキン技術。これまで肌が弱く使うカラーメイクなどに制限があった人もセカンドスキンの上に塗布すればどんなアイテムも安心して使用することができるようになるだろう。花王の担当者が「人間の皮膚の角層は非常に薄いが、見た目を左右しバリア機能などの大切な機能がある。そこをダイレクトに代替できる人工皮膚のアプローチは今後増えていく」と述べるように、セカンドスキン市場が創出される日は遠くないだろう。

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