REPORT
丁寧にあつらえた未完成の美
ニューヨーク・ファッション・ウィーク最終日を明日に控えた7日目のハイライトは、「プロエンザ スクーラー」だ。
ファーストルックは、白のコットンジャカードベストにビスコースのクレープパンツ。胸元にはベストを縛るように黒の大きなリボンが付けられている。それに続くのは、肩の部分がずり落ちたように見える白のコットンポプリンのドレス、ランダムにカットされたパネルスカート、袖が長く指を覆うような赤の刺繍ドレス。シルクツイードのベストは、裁断の途中の切れたままのような、ランダムにカットされたシルエット。どこかアンバランスなのに、もしかするとアンバランスがゆえに感じる女性的かつエモーショナル、それでいて何かにとらわれない自由さが感じられる。部分的、もしくは大胆にあしらうラッフルやメッシュ使いが白、黒、ネイビー、赤が中心としたカラーパレットに映える。ショーのあとに配られたカードのメッセージには「ほどけるという感覚や見捨てられたものに興味がある―それはなにかを解き放ったり、ものを破壊したりすること。何層ものレイヤーを剥がしてその下にある純粋なものを発見すること」と記されていた。それらが未完成の美として昇華され、予定調和では生み出せない美しさを内包している。