国内アパレル市場の2021-22年秋冬商戦が本番を迎える。昨年に引き続きコロナ禍での秋冬シーズンとなり、リアル店舗の集客はままならず、外出自粛ムードも依然根強い。各社はどう活路を見出すのか。ファッションビル、百貨店、セレクトショップの人気ウィメンズ業態に戦略を聞いた。(この記事はWWDJAPAN8月30日号からの抜粋です)
アパレル企業にとって重要な収益源となるのが秋冬の重衣料だ。近年の暖冬傾向に加えて、昨年は外出自粛もあり、アウターでは長い期間羽織れる軽めのガウンコート、詰め物のウエイトを少なくしたダウンジャケットなどに比重を置いたブランドが多かった。だが、「スナイデル(SNIDEL)」のディレクターを務める楠神あさみマッシュスタイルラボ取締役企画部本部長は「(昨年は)ふたを開けてみたら売れたのはウールコートだった」と話し、「アメリ(AMERI)」の黒石奈央子ディレクターも「オケージョンを意識したワンピースや華やかなコートなど、ブランドの売れ筋は変わらない」と口をそろえる。好調業態は暖冬やコロナいかんに関わらず、ブランドの顔となるウールコートがしっかり売れている。
ただ、消費者のアパレル支出に対する選別意識は進んでいる。少ない外出機会にとっておきのお出かけ着として選ばれるための商品企画が必要だ。「アメリ」の黒石ディレクターは「そこそこの商品では話題にならない。SNSで何千と『いいね』がついて、街でもたくさん着られるような品番をたくさん作ることが重要」と考える。「エンフォルド(ENFOLD)」はアーティスティックで独自性のあるデザインで訴求し、「ロンハーマン(RON HERMAN)」は時代を超える名品や循環型素材を買い付け、「長く愛せる」という価値観を提案する。
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