コロナ禍で元気のない裏原宿を盛り上げようと、地元のアパレル経営者やクリエイターらがプロジェクトを発足した。9月1日から本格始動する「ウラハラプロジェクト(URAHARA PROJECT)」は、ファッション、アート、音楽、スポーツ、食、SDGsなど、原宿にゆかりのある様々な分野の第一人者がプロジェクトメンバーとなって、動画配信やイベント開催、商品開発、各種コラボレーションなどを進める。
9月からユーチューブの配信を始める。動画ではクリエイター同士のトーク、原宿の歴史、注目のカルチャーなど幅広いコンテンツを制作する。
プロジェクトメンバーには裏原宿の老舗アパレルであるジムの八木原保社長、「エックスガール(X-GIRL)」を展開するビーズインターナショナルの皆川伸一郎会長のほか、編集者でフォトグラファーの米原康正氏、音楽プロデューサーのYANAGIMAN氏、ラジオDJのサッシャ氏、環境クリエイターの佐野雅彦氏ら21人で構成する。企業や組織ではなく、個人の立場での参加によって迅速な意思決定につなげる狙いだ。プロジェクトメンバー個々のネットワークを活用し、企業やインフルエンサーとの協業を積極的に行い、若い世代を巻き込んでいく。
プロジェクトリーダーで原宿神宮前商店会会長の早川千秋氏は「裏原宿に強い思い入れを持つ人はジャンルを超えてたくさんいるが、横のつながりが少なく、連携する機会が少なかった。ウラハラプロジェクトがハブになって、さまざまな化学変化を起こしていきたい」と話す。早川氏が専務を務めるジムの本社は裏原宿の一等地にあるため、同社を動画配信の撮影スタジオやイベントスペースとしても利用する。
1990年代から2000年代前半にかけての裏原ブームをリアルに知る世代は、すでに30歳代後半以上になった。Z世代と呼ばれる若者たちは裏原宿に特別な思い入れがないこともあって、コロナ以前から発信力が弱まっていた。ただ、裏原宿発のストリートファッションは世界のトップクリエイターの創作活動に影響を与えるなど、現在でも高い評価を受けている。「裏原宿が培ってきた資産を、ファッション以外の要素も絡めてアップデートさせることが僕たちの仕事になる」と早川氏は話す。