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カエルムが“編集しない”紙媒体「バイ&ナル」立ち上げ 年間50冊発行

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 「ナイロン ジャパン(NYLON JAPAN)」などを発行するカエルムが新たなプリントメディア「バイ&ナル(VI/NYL)」を9月28日に創刊する。76〜84ページを予定し、予定価格は税込1650円。新媒体では編集者やデザイナーを置かず、全て外部のクリエイターやアーティストが制作。音楽の企画を中心に、年間50冊というボリュームで不定期にて発行する予定だ。出版界に新風を吹かせるべく、さまざまな試みにチャレンジする同誌立ち上げの意図を、戸川貴詞カエルム社長に聞いた。

「世に無限と溢れるクリエイティブを信じたい」

WWDJAPAN(以下、WWD):「バイ&ナル」とはどのような媒体?

戸川貴詞カエルム社長(以下、戸川):内容は音楽が中心で、“ムード”と“タイムレス”がコンセプト。表紙に掲載するアーティストをメーンに、バックカバーや中面にもプレイリストとして10のアーティストが登場する。音楽を選んだのは、媒体として世界で勝負していくために共通言語になりやすいと考えたから。

WWD:立ち上げの経緯は?

戸川:「ナイロン ジャパン」や「ハイスノバイエティ(HIGHSNOBIETY)」などの媒体を長年手掛けてきた中で、日本の出版に対する疑問やシステムへのストレスを感じ、コロナ禍で明確になった。それらを解消するため新媒体の構想をスタートし、今年4月に本格的に動き始めた。

WWD:どのような点にストレスを感じていた?

戸川:例えば、クリエイティブに対するストレスだ。個人的には、編集部で議論していいものを作るという時代は終わったと思っている。今、自分が携わっている媒体とは相反する意見になってしまうけれど、もっと先を見据えるとそうなっていくと考えている。今はインターネットやSNSなどに情報が溢れており、誰もが頭の中に勝手にインプットされていく状態。そんな状況でオリジナルのアイデアなんて生まれないし、議論しても70点ぐらいのものしかできない。であれば、世の中に無限と溢れるクリエイティブを信じたい。だから「バイ&ナル」では編集者やデザイナーを設けず、参加するフォトグラファーやスタイリスト、ライター、アーティストら外部のクリエイターに企画を全て任せる作り方にチャレンジする。

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