ファッション

新「ゴシップガール」出演で再注目 ピンク坊主のモデル&スケーター、エヴァン・モックって何者?

 リブート版「ゴシップガール(GOSSIP GIRL)」が8月20日から日本でもU-NEXTで配信されている。2000年代に大ヒットしたオリジナル版の製作陣が再び集結し、ストーリーとキャストを一新してブログ「ゴシップガール」閉鎖から約10年後の世界を描く。オリジナル版のブレアやセリーナ、チャック、ネイトらに代わって物語の中心となるのは、インフルエンサーのジュリアン・キャロウェイ(Julien Calloway)をはじめとするニューヨーク・アッパーイーストサイドの私立高校のトップに君臨する友人グループだ。このメインキャストの一人に、ファッション業界にも馴染みのある人物がいる。ピンクヘアのバズカットがアイコンのエヴァン・モック(Evan Mock)だ。

 エヴァンは、「ゴシップガール」でデビュー作にして大役に抜擢されたが、それまでは「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のランウエイや「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」のキャンペーンに起用されるモデル、スケーター、フォトグラファーとしても活躍していた人物だ。ここでは「ゴシップガール」での役柄と、最新作に抜擢されるまでの彼のこれまでのキャリアを振り返る。

「ゴシップガール」での役柄

 「ゴシップガール」がティーザーで各キャラクターを表す一言が発表した際、エヴァンが演じるアキ(Aki)ことアケノ・メンジーズ(Akeno Menzies)役に当てられたワードは“無垢(innocence)”だった。スケーターで映画オタクのアキは、前作のブレアと比較されることが多いオードリー・ホープ(Audrey Hope)という彼女がいるが、自分のセクシュアリティーを模索中だ。シャイで自分に自信がなく、ファッションショーに着ていく服を友人と選んでいたシーンでは「シエス マルジャン(SIES MARJAN)」のグラデーションのシャツを薦められ、「僕には似合わない」と断ろうとした。モデルとしても活躍するエヴァンなら似合わないはずがないのだが、こうした現実世界のイメージとの大きなギャップは以前から彼を知っている人にも、作品で彼を知った人にとっても驚きかもしれない。作中ではグループの中心で学園のトップに居座るジュリアンがインフルエンサーやモデルとして活動しているが、現実世界で一番この役に近いことをしているのはエヴァンだ。

クールキッズになるまで

 1997年にフィリピン系のハーフとしてハワイのオアフ島で生まれたエヴァンは、子どもの頃からサーフィンとスケートボードに明け暮れていた。サーフィンやスケートボードを楽しむ日々を送りながら、サメと一緒に泳ぐ観光者向けのアクティビティーのツアーガイドもしていた。ハワイからカリフォルニアに拠点を移したエヴァンの転機は2019年。スケート仲間の現代アーティスト、トム・サックス(Tom Sachs)がピンク色のバズカットになったエヴァンを見て、「フランクという友だちが似た髪型・髪色だから見せてあげたい。動画撮るから何かトリックして見せてよ」と頼んだという。この時エヴァンは何も知らなかったが、このフランクという友人はフランク・オーシャン(Frank Ocean)だった。トム・サックスから送られてきた動画を見たフランクは、その動画を自身のインスタグラムに投稿した。これをきっかけにエヴァンはフランク・オーシャンと関わりのあるクリエイターに知られ、一晩にしてSNSスターになった。

モデル・フォトグラファーとしても活躍

 大手モデル事務所のIMGと契約し、「ルイ・ヴィトン」と「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」の2020年春夏のランウエイを歩いたほか、「ラグ & ボーン(RAG & BONE)」22年春夏のルックブックや「パコ ラバンヌ(PACO RABANNE)」「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」のキャンペーンに起用された。「セリーヌ(CELINE)」「ディオール(DIOR)」「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」「バルマン(BALMAIN)」などのショーのフロントローにも登場し、瞬く間にファッション業界でも頭角を現した。

 エヴァンはモデルだけでなく、フォトグラファーとしてもビッグネームな人々と仕事している。トラヴィス・スコット(Travis Scott)の19年の「アストロワールド(Astroworld)」にフォトグラファーとして参加し、トラヴィスのプライベートジェットでツアーに同行しながらパフォーマンスからバックステージ、ツアー移動中までを写真に収めた。また、ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)のブランド「ドリュー ハウス(DREW HOUSE)」のキャンペーンビデオも撮影した。

 19年には自身のストリートブランド「ソーリー イン アドバンス(SORRY IN ADVANCE)」も立ち上げ、21年6月にはサーフブランド「ルーカ(RVCA)」とコラボコレクションも発売した。7月には「ゴシップガール」で俳優デビューも果たした。マルチに活躍の場を広げ続けているエヴァンに今後も注目だ。

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