REPORT
そこは1日限りの豪華なプレミア上映会
ニューヨーク・ファッション・ウイークのラストを飾ったのは、「マーク ジェイコブス」。「マーク BY マーク ジェイコブス」と統合した初のコレクションだけに、否が応にも期待が高まる。マークが会場に選んだのは、1927年に建てられた歴史のあるジーグフェルド劇場。会場に着くと、そこはさながら映画のプレミア試写会。会場の外にはレッドカーペットにフォトコールが設置され、主演女優の登場を待ちわびているようだ。会場の中に入ると「MARC JACOBS 2016SS ONE NIGHT ONLY!」と書かれたパンフレットが手渡される。さらに階段を上っていくとオリジナルTシャツやポップコーン、コーラが自由に取れるようになっており、ショーの幕が上がるまでそれぞれの時間を楽しんでいる。
18時を少し過ぎた頃、バンドの生演奏がスタートするとシアターのスクリーンに会場の外でレッドカーペットを歩くモデルたちの姿が映し出され、フォトコールで撮影をし、会場内に入っていく様子が映し出される。しばらくするとモデルが館内に入り観客が通路に設置されたランウェイを鑑賞する仕掛けだ。
長いランウェイを歩いてくるモデルは、少しウエットなウエーブヘアにビジューのヘアアクセサリーを付け、ゴージャスで少し退廃的でセクシー、かつ可愛げのある、古き良き時代の女優のよう。Vの胸元が大きく開き、肩は少しパフスリーブになっているクラシックなシルエットのドレスには、ビーズやビジューをふんだんにあしらい、スポットライトを浴びたモデルたちは遠くから見てもまばゆく輝いている。
アメリカ国旗のような赤、青、白を中心とするカラーパレットは、それらのビジューの輝きをより引き立たせる。また、単に美しいドレスにとどまらないのがマークらしいところ。上下セパレートのルックには、たくさんのブローチを付けたGジャンやデニムスカート、スタジアムジャンパーといったアメカジ・アイテムをミックスし、絶妙なバランスを作っている。試写会に出席するようなエレガントなドレスでも、足元はスニーカーを合わせるスタリングもあり、ドレスコードは自由だ。「マーク BY」で得意としていたストリートカジュアルのアイテムがうまくミックスされているようでもある。
ショーのフィナーレに近付くとバンドの演奏がクライマックスを迎え、スクリーンにはマークの愛犬、ネヴィルが登場し、ショーの終わりを告げる。61ものルックを披露したその数の多さにも、今回のマークのショーに賭ける思いが伝わってくるようだ。フィナーレに登場したマークには、惜しみない拍手が送られていた。
LOOK
FRONT ROW
今回のショーに来場したソフィア・コッポラ(Sophia Coppola)は、「ジーグフェルド劇場に映画を観にくるのが大好きだから、マークがファッションショーをここで行ってくれて嬉しい」と語った。