ファッション

ファストリ、縫製労働者の人権を守るための国際協定に署名

 「ユニクロ(UNIQLO)」を運営するファーストリテイリングは、「繊維・縫製産業における健康と安全のための国際協定(International Accord for Health and Safety in the Textile and Garment Industry以下、新協定)」に署名した。新協定は9月1日付で発効し、2023年10月まで継続する。同協定は9月2日時点で91社が署名しており、うち日本企業はファストリのみ。

 新協定は、「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定(Accord on Fire and Building Safety in Bangladesh以下、旧協定)」の枠組みを引き継ぐもの。旧協定はバングラデシュの首都ダッカで2013年4月に発生し、死者1100人、負傷者2500人以上の被害を出した縫製工場ビル崩落事故をきっかけに締結された。ファストリは同年8月に旧協定に署名している。旧協定は21年5月末が失効期限だったが、労働者を取り巻く環境が改善されない状況を危惧した人権アクティビストやNPO、ブランドなどからの要請を受け、期限が8月末まで延長されていた。

 新協定は旧協定の内容を引き継ぎ、法的拘束力を持つが、対象をバングラデシュだけに限らず、人権監視団体が “高リスク”と見なす他のアパレル生産国にも拡大する考えがあるという。ファストファッションブランドの下請け工場が多い中国、インド、マレーシア、パキスタンなどがこれに当てはまる。

 ファストリ以外ではスウェーデンのH&Mや、「ザラ(ZARA)」を擁するスペインのインディテックス(INDITEX)、仏カルフール(Carrefour)、英マークス&スペンサー(Marks & Spencer)などが署名している。米国企業ではPVH、アメリカンイーグルアウトフィッターズ(American Eagle Outfitters)などが署名しているが、全体的に欧州企業が中心。旧協定は13年時点で200社以上の署名が集まったのに対し、今回は法的拘束力がより強まったことなどで署名の数がまだまだ少ないことを問題視する声もある。

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