“日本発唯一の国際カードブランド”を運営し、国内最大級の加盟店ネットワークを持つJCBと決済事業を主軸にマーケティング、投資事業を手がけるデジタルガレージは、NFCタグを活用した非接触型決済サービスの実証実験をスタートさせた。9月30日まで、京セラドーム大阪の施設内(オリックス・バッファローズ主催試合時に限る)や映画館の渋谷HUMAXシネマと池袋HUMAXシネマズ、東京・高田馬場の文房具店CHIKUHOで行っている。これは、購入者が自身のスマートフォンだけで決済を完結することができる完全非接触型のサービス。今回の検証結果を踏まえ、より確実な課題解決のためのサービスを提案したい考えだ。JCBによるウィズコロナ時代の決済サービスとは?
アプリ不要!
スマホを“かざすだけ”
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NFCタグとは近距離無線通信技術(Near Field Communication)に対応した非接触型のICタグのことで、スマートフォンをかざすだけで情報を読み取ることができる。カメラで読み取るQRコードに比べ、“かざすだけ”の動作で利用できるため、簡単。スマホをかざすとウェブブラウザへ移り、オンライン上で決済が完了する。ブラウザ上では金額入力後加盟店へ決済完了画面を提示する方法や、メニュー画面を表示する前払い式のモバイルオーダーもできる。スマホに登録しているクレジットカードで支払うので、現金のやりとりが必要ない。店舗側も決済時の操作は不要だ。
また、NFCタグは小型で電源が要らないので、設置場所も柔軟に選べ、スタジアムや催事場などの混雑の分散にも有効活用できる。専用アプリのダウンロードが不要なので、スムーズな決済を実現可能だ。
小規模店舗にとっては、これまでキャッシュレス決済端末導入のハードルがあったが、NFCタグはコスト面のメリットも大きく、手軽に導入可能なため、幅広い事業者が利用できる。
新型コロナウイルスの影響で、多くの事業者のビジネス環境が変化している。事業者側にとっては、利用客数の減少や営業時間の縮小による売り上げの減少はもちろん、感染症対策の実施とそれに伴うコストや事業負荷の増加も著しい。JCBが行った事業者を対象にしたアンケートによると、「店内の感染症対策」(53.9%)に次いで、「キャッシュレス決済」(35.3%)を求める客の声が高かった。
実証実験に参加した
渋谷HUMAXシネマに聞いた
映画館とNFCタグの親和性
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実証実験に参加した経緯は?
A.昨今の状況により、休憩時間中のロビーの混雑が課題となっており、解決策を模索していた。コロナ禍で非接触サービスへの要望が高まっている状況でもあることに加えて、お客さまが飲食売店の列に並ぶ必要もなくなるため、混雑緩和に役立つ。また、当館は上映作品に合わせた展示にも力を入れている劇場のため、ご注文の品をお渡しするまでの時間、ロビーでゆっくりと過ごしていただきたい。そういった点でも導入メリットが大きく、親和性は高いと考えた。
Q.実際にNFCタグ決済サービスを使ってみた感想は?
A.NFCタグと管理用タブレットの準備のみで始められるため、導入が簡単だった。土日の混雑時でもタブレットからの通知音で、注文がわかるため、スムーズに商品をご提供できている。休憩時間中のロビーの混雑解消に加えて、混雑時のチャンスロスの減少も期待できると思っている。
現在はiOSのみの対応だが、今後はAndroid対応にも拡大予定。また、ビジネス・経営環境の変化や悪化、それを受けた情報収集など事業者は多くの対応に迫られており、JCBは厳しい環境下にある加盟店を支援したいとの想いから、JCB加盟店支援サイトを開設している。今後も新型コロナウイルスの影響で経営に苦しむ事業者のニーズを捉えた様々なサービスを幅広く展開していく。