競売会社クリスティーズ(CHRISTIE'S)が11月9日にスイス・ジュネーブで開催するオークションに、ルイ16世(Louis XVI)の王妃だったマリー・アントワネット(Marie Antoinette)が所有していたダイヤモンドのブレスレット2点が出品される。
ブレスレットはいずれも3連で、およそ1〜4.5カラットのダイヤモンドが計112個あしらわれている。カットはオールドカットで、地金はゴールドとシルバー。ボックスはオリジナルのものが残っており、内側にマリー・アントワネットの子孫による手書きのラベルが付いている。
1776年にパリの高級ジュエラー、ベーマー・エ・バッセンジュ(BOEHMER ET BASSENGE)で購入されたこのブレスレットは、マリー・アントワネットが93年に処刑された後、その長女であるマリー・テレーズ・シャルロット・ド・フランス(Marie-Therese Charlotte de France)が受け継いだ。1816年のマリー・テレーズのポートレートには、両腕にこれを着けた姿が描かれている。母親よりも大柄だったことから、マリー・テレーズはブレスレットにそれぞれ6個のダイヤモンドを追加してサイズを調整しているほか、留め具にもダイヤモンドを1個ずつ追加しているという。
クリスティーズのマリー・セシル・シサモロ(Marie-Cecile Cisamolo)=ジュエリー・スペシャリストは、「このブレスレットは、フランス革命中にマリー・アントワネットがフランスから脱出しようとした際、(甥であるオーストリア皇帝に預けた)木製のチェストに入れられていた宝飾品の目録にまで来歴をさかのぼることができるという点で、大変希少な品物だ」と語った。
落札予想価格は200万〜400万ドル(約2億6000万〜5億2000万円)となっているが、マリー・アントワネットに関するアイテムは熱心なコレクターがいるため、これを上回る可能性がある。2020年11月に仏競売会社オズナ(OSENAT)が開催したオークションに出品されたマリー・アントワネットの右靴は、落札予想価格8000~1万ユーロ(約104万~130万円)のところ、4万3750ユーロ(約568万円)で落札された。