世界最大規模デザインの祭典「ミラノサローネ国際家具見本市(MILANO SALONE)以下、ミラノサローネ」の2021年特別イベント「スーパーサローネ(SUPER SALONE)」が9月5〜10日、イタリア・ミラノで開催された。昨年はコロナで開催を中止。今年はコロナ禍での開催であったが予想を超え、「スーパーサローネ」の会場であるミラノ郊外のロー・フィエラでは、425ブランドが出展。約6万人が来場し、そのうちの3割を113カ国からの外国人が占めた。また、世界各国から、約1800人のジャーナリストが来場。
イタリアを代表する建築家であるミケーレ・デ・ルッキ(Michele De Lucchi)は、「『ミラノのサローネ』への関心がこれほどに高いということを再確認した」とコメント。「危険かもしれないが、重要なのは開催すること」と、「スーパーサローネ」の総監督を務めたミラノトリエンナーレ館長のステファノ・ボエリ(StfanoBoeri)氏は述べ、出展企業の規模にかかわらずスタンドの展示設計を全て一律にすることで、展示費用を抑えた。また、以前は最終日2日間しか一般に公開していなかったが、入場料15ユーロ(約1900円)を払えば、誰でも初日から入場可能と門戸を広げた。こうした動きから、予想以上の約6万人という来場者数を達成した。
コロナ禍でありながら、ミラノ市内も大混雑
ミラノ市内では、イタリア人建築家である故ヴィコ・マジストレッティ(Vico Magistretti)についての展覧会などが開かれたトリエンナーレに約3万5000人が来場。ショールームやデザイン事務所が集中するブレラ地区も、ひっそりとしていたのと打って変わって、多くの人で混み合い、主な展示会場では行列ができ。入場を待たなければならないという状況だった。
ミラノ市内の中心にショールームがある大手企業は例年通り、新作の説明をしながら接客を行なった。ファッションブランドも、ここ数年積極的に家具やインテリアを取り込んでいる。コロナによるブランク後のサローネでは、余力のあるファッションブランドはミラノ近代美術館など広い会場を使って、大掛かりな特別展示を開催。これらどの会場においても、入場にはグリーンパスかPCR検査陰性の証明書が必要であり、そのコントロールのためにどの会場にも特別要員が配置され、会場内では、マスク着用が要求された。
今回の関心の中心は、サステナビリティ。素材として木が多く用い、リサイクルが取り入れられ、緑の植物がその存在を顕示していた。また、表現方法をより重視するアート的なアプローチも顕著で、アートとデザインの間はさらに曖昧になりつつあるようだ。一方で、ハイテクノロジーの存在は目立たなかった。
2022年の「ミラノサローネ国際家具見本市」は4月5〜10日に開催が予定されている。