ファッション系の大学生サークルも、最近はサステナビリティを強く意識している。現役大学生の多くは、デジタルネイティブのZ世代。その存在感は大きくなるばかりで、つながり方や対話方法を模索する企業も多いだろう。そこで「WWDJAPAN」は現役大学生らとタッグを結び、彼らのリアルやファッション業界への思いなどを届ける。どんなサークル活動をしているのか、またいち“若者”として、業界に発信したいことなどを寄稿形式で語ってもらった。
Rethink Fashion Waseda(以下、ReF)は、「サステナブルファッションをライフスタイルに」をモットーに掲げて情報発信及びコミュニティーづくりを行う学生団体です。ファッションという切り口から、持続可能な社会の実現に向けてサステナビリティについて考え、行動する仲間を増やすことをビジョンとしています。主な活動内容は、SNSでの情報発信です。21年現在インスタグラムでは、2000を超えるフォロワーを持ち、コミュニケーションを生むコンテンツ製作に励みます。コンテンツは「ファッション業界にある社会問題」「サステナブルファッションブランドの紹介」「メンバーが実践しているアクションの共有」など。幅広い切り口で、サステナビリティの重要性を前向きにシェアしています。
発信では「見やすさ」と、「強要をしない」ことを何よりも大切にしています。私たちの投稿を見たときに、サステナビリティについて抵抗を感じるのではなく共感をしてもらいたいからです。「強要をしない」というのは、一人一人の方法でサステナブルファッションを楽しむことを尊重するということ。正解がないからこそ、十人十色の鮮やかさを重視し、互いにインスピレーションを与え合うことを目指します。フラットな視点で選択肢を提案する伝え方を意識し、「投稿がかわいい」「この古着が好き」など、些細なきっかけを通して興味を持ってもらえるよう心がけています。情報を正しく包括的に伝えるために、入念にリサーチします。定期的な勉強会を開催し、個人の学びやアクションを大切にしながら、一体となり日々投稿を作成します。
ほかにも1年で約3回のペースで展開中の、「#MySustainableFashion」プロジェクトを実施。これは、各々がストーリー機能を用いて普段行なっているアクションやサステナブルなコーディネートを共有するフォロワー参加型の企画です。それぞれのユニークな取り組み方があるからこそ、互いに情報やネタを共有し合い、ポジティブに高め合うことを目指します。当プロジェクトには、累計100人を超えるフォロワーの皆様が参加し、共に新たな一歩を踏み出すことに成功しました。一方的な情報発信に留まることなく、フォロワーの皆様と一緒にサステナブルファッションを盛り上げていきたいです。21年6月にはユーチューブチャンネルを立ち上げました。「大学生が考えるファッションとは?」などを題材に、大学生であるメンバーをリアルに感じてもらい、今までとは違う層のオーディエンスに対して私たちの想いを届けています。
ReFは、20年5月に設立。アメリカ留学中にNPO団体での活動を経て「日本でもより多くの人々にサステナビリティについて伝えていきたい」と考えた現代表の五十嵐文桜が呼びかけ、ファッション業界の環境汚染や人権問題に課題意識を持ったメンバー5人とともにスタート。それぞれが早稲田大学国際教養学部に所属し、留学を通し日本と欧米におけるサステナビリティに対する人々の意識の差を実感していたことから、自身が抱える違和感を発信するために集まりました。21年現在は日本だけでなく海外の大学から集結した約90人のメンバーと共に活動をしています。
これまで同じフィールドで活躍する他学生団体との共同イベント、インタビューや対談、ポップアップイベントの開催、企業との共同プロジェクトなど、多岐にわたるコラボレーションを実施してきました。私たちだけでは実現できないプロジェクトも、共通の志をもつ人たちとともに形にしています。今後は、「WWDJAPAN」や業界人とともにアクションを起こせるようなアイデアを発信し、サステナビリティへの偏見を打破していきたいです。特に、「自分がどれほどサステナブルにコミットできているか」を他人と比べるのでなく、できるだけ多くの仲間とともに“サステナブル旋風”を巻き起こしたいです。私たちは学生の立場からサステナビリティを考えるからこそ、身近な同世代の若者に直接的にアプローチできます。大人や企業はその立場を生かして、学生よりもパワフルにサステナブルにコミットできるはずです。サステナビリティに正解はないので、一個人として・団体として・企業としてさまざまな尺度から考え、一緒に実現できることを模索していきたいです。
9月20日発売の「WWDJAPAN」は、ファッション系サークルを持つ4つの学生団体の声に耳を傾け、Z世代のファッションとサステナビリティに対する意識や考えを調査。Z世代とのコミュニケーション方法を模索する業界人は必読だ。