企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回は財務諸表からは読み取れない在庫の中身とそれを生かしきることの重要性を解説します。(この記事は「WWDJAPAN」2021年9月13日号からの抜粋です)
前回はデジタルへの投資についてお話ししましたが、果たしてその資金はどこから捻出すればいいのか。人件費を削るのも、店を減らすのも嫌だ。しかしリソースは限られている。そういうとき、多くの企業が借り入れすることを考えます。でも、改めて自社の貸借対照表(BS)、特に在庫を見直してみると、そこに“埋蔵金”があることに気付きます。眠っている在庫を減らして現預金に換える。もちろんただ減らせばいいというものではありません。
財務諸表や事業全体を見る帳票では金額や数量の合計しか出ていませんが、在庫の中身にはいろいろあります。私は「売れ筋在庫」「スロームーブ在庫(当シーズン商品だが動きが鈍い)」「キャリー在庫(前シーズン以前の商品)」の3つに分けて考えます。
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