「ディーゼル(DIESEL)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「マルニ(MARNI)」などを擁するOTBは9月15日、ウバルド・ミネッリ(Ubaldo Minelli)OTB最高経営責任者(CEO)を「ジル サンダー(JIL SANDER)」の新たなCEOに任命した。2018年から「ジル サンダー」を率いてきたアクセル・ケラー(Axel Keller)CEOの後任となる。なお、ミネッリ新CEOは引き続きOTBのCEOも務める。
「ジル サンダー」はデザイナーのジル・サンダーによって1968年にドイツで創業。99年にプラダ グループ(PRADA GROUP以下、プラダ)に買収されたものの、同社のパトリツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)CEOと意見が合わず、サンダーは半年後に「ジル サンダー」を離れている。その後、プラダは2006年に英投資会社チェンジ・キャピタル・パートナーズ(CHANGE CAPITAL PARTNERS)に同ブランドを売却。08年にオンワードホールディングス(ONWARD HOLDINGS以下、オンワードHD)の傘下となった後、21年3月にOTBが同ブランドを買収した。
「ジル サンダー」のクリエイティブ・ディレクターとしては、現在「プラダ」の共同クリエイティブ・ディレクターであるラフ・シモンズ(Raf Simons)が05年から12年まで、17年からはルーシー・メイヤー(Lucie Meier)とルーク・メイヤー(Luke Meier)夫妻が務めている。
レンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)OTB会長は、「ジル サンダー」を買収した際、「クリエイティブ面を変更するつもりはない」としつつも、同ブランドをさらに発展させるべく経営体制の見直しを視野に入れ、マーチャンダイジングの改善とデジタル強化を推し進めていくと発言していた。年内には、ニューヨークに店舗をオープンする計画だという。
オンワードHDが21年3月に発表した適時開示情報によれば、ジル サンダー事業の20年2月通期の売上高は4860万ユーロ(約62億円)、営業損失は1782万ユーロ(約22億円)、純損失は2274万ユーロ(約29億円)の赤字だった。