独BMWのジャパン社であるビー・エム・ダブリューは9月22日、ラグジュアリーSUVの「BMW X7」で、京都の伝統工芸、西陣織を内装に取り入れた特別モデル「BMW X7 NISHIJIN EDITION」を発売する。限定3台で、価格は税込み1680万円。2020年にスタートした「BMWと日本の名匠プロジェクト」の第3弾。
西陣織の楽芸工房、加納幸と組み、ダッシュボードやアームレストの部分に“引箔”と呼ばれる技法や、細かいテープ状にしたレザーと絹糸で柄を織り上げる技術を取り入れた。昨年販売した「日本の名匠プロジェクト」第1、2弾では、漆絵らでん細工や銀板の象がん職人と組んでいた。
自動車という他業界の話ながら、ファッションやビューティ業界関係者も頭に入れておいて損はない今回のプロジェクトのポイントは、販路をビー・エム・ダブリューのオンラインサイトに絞っているという点。テスラなど一部を除き、一般的に自動車は販売店で買うもの。そんなイメージを覆し、同社は20年7月から全車種をオンラインサイトで販売している。ウェブ上で外装色や内装、燃料タイプなどを選べるようにしており、納車まで一度も実車を見ることなくオンライン上で完結することも可能。特に今回のような限定車はオンライン販売との相性が良く、20年9月にオンラインで売り出した限定車7台(1860万円)は、発売3分で完売したという。
「ビー・エム・ダブリューとして、オンライン販売に力を入れている。コロナ禍でステイホームが広がっているという背景もあるが、同時に時代の流れとして、自動車もオンライン上で情報を確認して購入するようになってきている」と、同社の遠藤克之輔BMWブランド・マネジメント・ディビジョン本部長。オンライン販売は国産車メーカーに比べて販売店が少ないことをカバーすることもでき、同時にこれまで接点のなかった客との出合いや、常に新しいことにチャレンジするというブランドイメージの創出にもつながると期待する。
百貨店の特選・宝飾カテゴリーの売り上げが、富裕層、特に30〜40代などの若年富裕層の高額品消費によって活況だ。それと同様に高級車市場も、コロナ禍によって抑制されている海外旅行や外食の代理消費として好調という。「30〜40代の富裕層は高級車のマーケットでも注目されている。彼らは宝飾品や現代アートを購入するのと同様に、車も単なる乗り物としてではなく、より芸術的なもの、ストーリーのあるものにお金を払うようになってきている」と遠藤本部長は分析する。