ドイツ・ベルリンでは、6月ごろからツーリストの姿を多数見かけるようになった。2020年の新型コロナウイルスのパンデミック以降、久しぶりに見る光景に観光地としての活気を取り戻しつつあるのだと実感した。7月には、街の中心部を結ぶ地下鉄U5の延伸線が完全開通し、博物舘が集結している島「ムゼウムスインゼル(Museumsinsel)」にも駅が誕生した。”博物館島”とも呼ばれるここは、1999年にユネスコ世界文化遺産に登録されている。
ツーリストが増えるとともにインバウンド効果を発揮しているのが、スーベニアショップ(お土産ショップ)だ。その中でも前述した地下鉄U5沿線上にある「ウンター・デン・リンデン(Unter den Linden)」駅周辺には、有名なスーベニアショップが多数点在しており賑わいを見せている。「ウンター・デン・リンデン」とは、ベルリン王宮とブランデンブルク門を結ぶ大通りの名前であり、歴史的な重要建築が建ち並んでいる人気観光スポットのひとつだ。その通りの一角に位置するのが、今回紹介したい「ニベア(NIVEA)」の直営店「ニベア・ハウス・ベルリン(NIVEA HAUS Berlin)」だ。
「ニベア」といえば、日本でも馴染みが深く誰もが知っているスキンケアブランドでもあるが、ドイツ第二の都市ハンブルクで生まれたことを知っているだろうか?ニベアは、ハンブルク拠点のグローバルスキンケアメーカーのバイヤスドルフ(BEIESDORF)によって、1911年に誕生した。ニベアとはラテン語で「雪」を意味する「nix, nivis」から由来し、”世界初の油性・水性の安定したクリーム”として、スキンケア業界に革命をもたらしたと言われている。
「ニベア・ハウス・ベルリン」は、発祥の地であるハンブルクに続き、ドイツ国内における2店鋪目の直営店として2009年4月にオープン。他には、ハンブルクにビューティサロンを1店舗、ドイツ北東部のリゾート地ヴァーネミュンデに1店鋪構えている。ベルリンの店舗は、520平方メートルの広大な敷地を誇り、スキンケア、ボディーケア、ヘアケア、メイクアップ、ギフトなどをはじめとする700種類以上ものオリジナル商品が並ぶ。エステやマッサージなどのリラクゼーションサービスが受けられるビューティーサロンも併設しており、こちらは予約制となっている。
「ニベア」の製品といえば、ドラッグストアやスーパーマーケットなど、どこでも簡単に手に入るイメージであるが、直営店にわざわざ足を運ぶ理由は、“ここでしか買えない限定商品”の存在である。その中でもお土産としてトップの人気を誇るのが、星座のイラストがデザインされた青缶のクリーム“ニベア・クリーム・ステアンツアイヒェン(NIVEA Creme Sternzeichen)”だ。12星座それぞれのイラストと星占い同様に期間が記された同製品は、75mLのワンサイズのみで値段は2.7ユーロ(約345円)。定番の無地の青缶ニベアクリームと比べると少々高めだが、他では手に入らない希少価値の高さから人気があるのだという。
星座のシリーズと一緒に陳列されているのは、期間限定パッケージデザインとして販売しているレインボーカラーのクリームだ。LGBTQ+コミュニティーをイメージしたデザインには「世界はカラフルで多様性があり、それが美しさの一部である。」といったメッセージが込められている。同商品は、30mL(89セント、約114円)、75mL(1.69ユーロ、約216円)、150mL(2.19ユーロ、約280 円)、250mL(2.99ユーロ、約371円)の4サイズ展開となっており、直営店以外でも購入することが可能。「ニベア」愛用者である筆者も購入したが、使い終わった後も保管しておきたくなるデザイン性の高さを気に入っている。
他にも直営店限定商品として、ニベアクリームと同じ香りの香水やリードディフューザー、キャンドル、ギフトセット、マグカップ、ポーチ、タオルといった「ニベア」ファンに向けたオリジナルグッズを豊富にそろえる。ノートやペンといったステーショナリーグッズまで展開していることには驚いたが、時代を超えて世界中で愛されてきた「ニベア」だけに熱心なコレクターがいるのも必然だろう。
「ニベア・ハウス・ベルリン」の近隣には、歩行者用の信号機キャラクター、アンペルマンのグッズ専門店「アンペルマンショップ(AMPELMANN Shop)」もあり、同様に賑わいを見せている。コロナ禍により観光客が途絶え、一時期はゴーストタウンと化したベルリンの街だったが、ツーリストの増加傾向により、息を吹き返したようだ。