宮永えいとが代表を務めるCiiKは、第三者割当増資により3000万円の資金調達を行った。引き受け先は、アパレルブランド「ウィンダンシー(WIND AND SEA)」経営者の赤坂優氏が代表を務めるAAファンド、主にライフスタイルやエンタメ、スポーツ領域に出資するWベンチャーズ(W ventures)、そしてyutoriの片石貴展代表取締役だ。資金は、宮永がプロデュースするメンズコスメブランド「レタッチ(RETOUCH)」の新規プロダクト開発などに充てる。
宮永はユーチューブチャンネル「大人男子ラボ」で約15万の登録者を持つインフルエンサーだ。スキンケアやメイク、ヘアなどの情報を発信し、今年1月には「レタッチ」をローンチした。過去に都内のヘアサロンで店長を務め、今もサロンワークを続ける現役美容師でもある。
インフルエンサー自らが資金調達し、事業拡大するのは珍しい。「正直、お金がめちゃくちゃ欲しかったわけではない」と語る宮永に、真の目的と今後の展望を聞いた。
WWD:調達した資金の使い道は?
宮永えいと(以下、宮永):「レタッチ」の新規プロダクト開発や事業拡大に充てます。まずはヘア関係のプロダクトを増やす。これまでリップやBBクリームも作ってきましたが、ヘアバームは初回生産分5000個が完売し、急きょ追加生産するほど大きな反響でした。世の中の男性の身だしなみは髪から始まるんだと実感しました。
WWD:「レタッチ」の強みは?
宮永:僕自身が美容師でヘアの知見を持ってることに加えて、ユーチューブでユーザーのニーズをキャッチできること。動画を分析すれば、どんなトピックに興味があって、どこで離脱されて、どこで登録者が伸びているかが分かる。一種のマーケティングツールなんです。今後も動画やればやるほど、プロダクトの精度も高まります。
WWD:ECや百貨店のほか、全国のヘアサロンと組んで店販するビジネスモデルも奏功している。
宮永:美容師と横の繋がりがあるのは大きいです。中には1カ月で200個売ってくれる美容師もいます。お客さんにも求められるし、プロも使いやすい。これは僕ならではの商品提案力だと思います。
“インフルエンサー”の
イメージを払拭したい
WWD:実売を考えると、自己資本でも十分賄えそうだ。
宮永:正直、めちゃくちゃお金が欲しかったわけじゃありません。僕は男性の身だしなみに課題を感じて、社会貢献できるブランドを本気で作りたいと思っている。でも1人の美容師であり、インフルエンサーだから、「レタッチ」には“インフルエンサーが出したブランド”という認知が少なからずあるんです。このイメージを払拭したい。そこでビジネスのプロと組んで自分のビジョンを共有し、それを達成する環境を整えました。
WWD:名だたる投資家のサポートによって、ブランドに箔が付く。
宮永:そうです。それと、自分自身に発破をかけるためでもあります。美容の現場しか知らない僕は、世の中のビジネスがどう回っているか、どうやって資金調達するかは全く知らないし、数字も強くない。でもそれを言い訳にしていたら理想のブランドは作れません。今ここで本気でプレゼンして、一流のビジネスマンに認めてもらうことができたら、自分自信も成長する。その一心で行動しました。今回、ライフスタイルや見た目に関する事業に強い3人に仲間になってもらえて、本当に心強いです。
WWD:株主とのつながりは?
宮永:Wベンチャーズの東明宏さんは、僕も所属する「ゴウトゥデイシェアサロン(GO TODAY SHAiRE SALON)に出資されていて知り合いました。片石さんは、実は彼の弟さんの髪を切っていて、そこからつながりました。赤坂さんは片石さんからの紹介です。
WWD:今後の展望は?
宮永:プロダクト数を増やして月商1億円をコンスタントに達成することが当面の目標です。“大人男子の身だしなみをアップデートする”に関係することなら、どんどん挑戦していきたい。開発中の商品がたくさんあるので、まずはそれらを早く詰めてローンチしていきます。楽しみにしていてください。
株主が語る出資の決め手
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