ファッションジャーナリストのリチャード・バックリー(Richard Buckley)氏が9月19日、闘病の末、死去した。35年をともに過ごした夫のトム・フォード(Tom Ford)と息子に看取られた。72歳だった。フォードは声明の中で、「リチャードはロサンゼルスの自宅で、私と息子のジャックのそばで健やかに眠った。自然死だった」と述べた。
バックリー氏は1948年にニューヨーク州ビンガムトンで生まれた。アメリカ、フランス、ドイツで育ち、ミュンヘンのメリーランド大学卒業後、79年にニューヨーク・マガジン(New York Magazine)でジャーナリズムのキャリアを開始。82年から米出版社フェアチャイルド(FAIRCHILD)による「デイリーニュース・レコード(Daily News Records)」のヨーロッパエリア編集記者を務めた。メンズウエアを広く扱うメディアにて、次世代のデザイナーを次々と発掘し、メンズファッションのトレンドに大きな影響力を持つ存在だった。
86年にニューヨークに拠点を移して「シーン(SCENE)」の編集長、米国版「WWD」のシニアファッションエディターに就任。その後フェアチャイルドを離れ、米コンデナスト(CONDENAST)のファッション誌「ヴァニティ・フェア(VANITY FAIR)」でソーシャルエディターとして、パーティーページを中心に世の動きを発信した。90年にミラノに移り、「ミラベラ(MIRABELLA)」誌のヨーロッパ管轄編集者およびイタリア版「ヴォーグ(VOGUE)」のコントリビューティングエディターに。一緒に暮らしていたパートナーのフォードが「グッチ(GUCCI)」のデザインスタッフに加わった頃だった。パリやロンドンでの生活を経て、近年はロサンゼルス、ニューヨーク、サンタフェで時間を過ごした。