三越伊勢丹ホールディングス(HD)は9月30日、中国・天津に新店舗「仁恒伊勢丹」を開業する。3館構成で、下層が商業エリア、上層がレジデンス(A、B館)とオフィス(C館)の商・住・職一体の複合施設。同社の子会社天津伊勢丹有限公司と現地の不動産開発大手・仁恒投資集団有限公司による合弁会社である仁恒伊勢丹商業有限公司が運営する。同日にA館を先行オープンし、そのほかの館は12月開業を予定する。A館の商業エリアのみでも店舗面積が約5万8000平方メートルと、全館開業となれば既存の中国5店舗と比較してもはるかに大型となる。これまでの最大は「天津伊勢丹」の約3万平方メートルだった。
天津市は北京市や河北省とともに「京津冀地域」を形成する高成長都市で、「仁恒伊勢丹」は三越伊勢丹HDの天津エリア3店舗目となる。地下鉄で国際空港まで約30分、ターミナル駅の天津駅まで約4分の好立地にあり、1キロ圏内には、高級住宅街や大企業のオフィスビルが並ぶ。北部には古文化街、東部にはイタリア街など、観光客に人気のスポットもある。
A館の商業エリアは百貨店部分が3割、テナント運営が7割で、地下2階〜地上5階の7層構造。“ショッピングミュージアム”をうたい、食品からファッション、ライフスタイル雑貨まで幅広く網羅する。1階ビューティフロアは30の化粧品ブランドのほか、フェイシャルトリートメントなど体験型コンテンツを提供する美容サロンが8店。編集ショップ「イセタンビューティー」では三越伊勢丹の越境ECで取り扱いのある人気ブランドを試せる。
現地で人気の高い日本のコンテンツにも注力する。2階婦人服・婦人雑貨のフロアでは中国の人気ブランドだけでなく、「ココシュニック(COCOSHNIK)」「フェスタリア トウキョウ(FESTARIA TOKYO)」といった伊勢丹新宿本店で人気の日本のアクセサリーブランドを販売。地下2階にはCCCのカフェ併設型書店「ツタヤブックストア(TSUTAYA BOOKSTORE)」を誘致した。また、3階子供服フロアには室内遊具やゴーカートで遊べるキッズランドを設置するほか、5階には映画館もあり、エリアのファミリー層の取り込みに注力する。
三越伊勢丹HDは今後、仁恒グループとの関係をさらに深め、「将来的には仁恒グループが手掛ける複合施設の開発段階から協業していきたい」(同社広報)としている。