「7時間15分で会社を辞めた話」がSNSを中心に大きな注目を集めた。販売員として入社した後に、店頭に立つためには売り場の服を自腹で購入して着なければいけないと会社側に求められ、その要求を断ったところ退職勧奨を受けたイラストレーターのZENZO氏が、実体験を漫画にしたものだ。
ファッション業界では“あるある”ともいえるこの慣習に疑問や不満を感じた人も多いようだ。投稿から約1カ月で7万件以上の“いいね”が付き、3万回以上リツイートされている。「はげましの声のほか、『今までたくさん買わされた、もっと早く知っていれば良かった!』という驚きの声がほとんどでした。やはり店側から強要されたら、職を失うことが怖くて従ってしまう人が多いんだなと感じました」とZENZO氏は反響について語る。
複数のアパレル企業で勤務経験があるZENZO氏によると、店頭で着用する服をレンタルという形で支給するブランドもあるという。「力関係で強い店側が、弱いスタッフに対して自腹で商品を購入させ、それを着ないと売り場に立たせない。つまり働かせない、というのは立場の悪用ですし、労働力を提供する対価として賃金をもらっているので自腹購入はその観点からも辻褄が合いません。自腹購入がアパレルの当たり前だと思っている人にも、ぜひ疑問視するきっかけになってほしい」とZENZO氏は話す。
では、法的にはどのような問題点があるのか。また、企業と労働者の双方が気を付けるべきポイントはどこにあるのかについて、ファッションローに詳しい中内康裕弁護士に話を聞いた。
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