オランダのジーンズブランド「ジースター ロゥ(G-STAR RAW)」はこのほど、ラッパーのスヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)を起用したグローバルキャンペーンをスタートした。その狙いや「ジースター ロゥ」の現在地と未来について、グウェンダ・ヴァン・ヴリエット(Gwenda van Vliet)=ジースター インターナショナル チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)に話を聞いた。
ヒップラインを美しく見せる
ジーンズをあらためて訴求
WWD:スヌープ・ドッグの起用理由は?
グウェンダ・ヴァン・ヴリエット=ジースター インターナショナルCMO(以下、ヴリエット):スヌープはヒップホップ界の生ける伝説であり、ジーンズのようにアイコニックな存在だ。自身のスタイルを確立しながら、それを改新し続け、さらに異なる文化も遊び心を持って積極的に融合させる。そのオリジナルなスタイルに共鳴したからだ。また、「ジースター ロゥ」はこれまでもファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)やジェイデン・スミス(Jaden Smith)とタッグを組んできたが、スヌープが彼らと同様に“本物”であることも重要な要素だった。
WWD:特に今回は、スヌープがリリースした「Say It Witcha Booty」にフォーカスしている。
ヴリエット:“Booty(ヒップ=後ろ姿)で語る”というこの楽曲と、「ジースター ロゥ」のブランド哲学はがっちりリンクする。以前行った市場調査で、「ジースター ロゥ」のジーンズを購入する理由の1位に「フィット感」が挙がっており、それはヒップで最も体感できる。
WWD:確かに「ジースター ロゥ」では2019年から、ヒップにフォーカスしてフィット感をアピールする“ハードコア デニム”キャンペーンを行っている。今回の「Say It Witcha Booty」キャンペーンも、それにひもづくものである?
ヴリエット:その通りだ。“ハードコア デニム”キャンペーンの次の章と言える。われわれは今まで、完璧なジーンズのフィット感について発信してきた。今回はそれを楽しい方法で伝えたいと考え、オリジナルムービーには「ジースター ロゥ」のジーンズをはいた男女に加え、犬、島、気球まで登場させた。「ジースター ロゥ」の世界観とスヌープのユニークなスタイルを組み合わせ、見る人が笑顔になることに重きを置いた。そして、ヒップラインを美しく見せるアイテムとしてジーンズをあらためて訴求したい。
「ジーンズとヒップホップは
いずれも文化として根付いている」
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WWD:ジーンズとヒップホップの親和性については、どう考える?
ヴリエット:ヒップホップが音楽の世界で大きく飛躍した1990年代、ヒップホップ界のユニホームと言える存在がジーンズだった。ルーズシルエットのジーンズとビッグサイズのパーカはヒップホップシーンには欠かせないものであり、全身をデニムウエアでコーディネートする“カナディアン・タキシード”と呼ばれるスタイルも流行した。
WWD:90年代は、アウトサイダーとされていたヒップホップアーティストがメインストリームになった時代でもあった。
ヴリエット:彼らはストリートの代弁者からトレンドセッター、スタイルアイコンになった。そして、この90年代をけん引したのがスヌープ・ドッグだった。ただし、スヌープのすごいところは、今なお進化し、シーンの先端を走り続けていることだ。ジーンズとヒップホップに共通して言えることは、一過性のものではなく、文化として根付いている点だと思う。
日本のECは2019年比で
2倍以上に成長!
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WWD:「ジースター ロゥ」はサステナビリティも大きく掲げる。本キャンペーンの商品にも、その精神は取り入れられる?
ヴリエット:もちろんだ。サステナビリティはわれわれのDNAであり、全ての活動に組み込まれる。現在、われわれが使用する素材の93%は持続可能な方法で調達されており、コットンに関してその数値は99%に達している。
WWD:“ジーンズが売れない”と言われて久しいが、「ジースター ロゥ」のビジネスは好調と聞いた。日本市場においても、それは言える?
ヴリエット:コロナ禍でも日本の業績は非常に安定している。特にECは、2019年に比べて2倍以上に成長した。一方で、実際にタッチ&フィールできる実店舗も重要で、9月に三重県の三井アウトレットパーク ジャズドリーム長島内の店舗を移転リニューアルし、10月にはダイバーシティ東京 プラザに最上位コレクションからアウトレット商品までラインアップする日本初の実験的ストアもオープンした。
WWD:最後に、他のジーンズブランドにはない、「ジースター ロゥ」の特別性について教えてほしい。
ヴリエット:ひと言で言うなら、発明と探求への意欲だ。ジーンズに限界はないと信じており、未来のために日々努力している。
「Say It Witcha Booty」
キャンペーンとは?
スヌープ・ドッグの楽曲「Say It Witcha Booty」から着想を得たもの。スヌープはキャンペーンのために歌詞を手直しし、オリジナルムービーにも登場する。ヴリエットCMOは、「“ジーンズをはいてBooty(ヒップ=後ろ姿)で語る”ことをあらためて訴求したい」と話す。
ジースター インターナショナル
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