サステナビリティなモノづくりとビジネスへシフトしたい、でも何から始めてよいかわからない。本連載はそんな迷えるアパレルの指針となるべく、サステナビリティ・シフトを進める先行企業の実践例や、最近シフトを始めて試行錯誤する企業の声や課題を集めた。これを読めば“できることから”の答は、今までやってきたことの中にあることがわかるだろう。第2回はウィメンズブランド「シーセット(SEESET)」から。
高荘はカジュアルウエア「シーセット」を2021-22年秋冬からスタートした。ヨガなどの運動を日課に取り入れている女性を対象にしたブランドで、汗シミが目立たないなど着用者への“気配り”が行き届いた、機能的なデザインが特徴だ。素材は機能性からポリエステルが中心で、そのうち再生ポリエステルは10%ほど。生地の3割がオリジナルだ。
同ブランドの児玉洋樹デザイナーのキャリアの原点はデニムで、綿やウールに関してオタクな知識を持つ。「アメカジにとって天然素材は“魂”に近い」。それにもかかわらず数年前に「綿100%を捨てた」。きっかけは、過酷な夏の暑さの中で外回りだったという。「デニムの色が変わるほど汗をかき、得意先の前に立てない。綿の脆弱さを体感した」。その後、クライミング系のポリエステル素材のパンツで一日中歩き、「こんなにラクなんだ、と気づいてしまった」と振り返る。ミリタリーにも詳しい同デザイナーにとって「ミリタリーやアウトドアのウエアは過酷な状況下で体を守る役割を持ち、技術革新とともに使用素材を天然から丈夫で軽い合繊に移行してきた」その事実も発想転換を促したという。
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