ファッション

CFDAが包括的なサステナビリティガイドを作成 その理由をCEOに聞く

 サステナビリティに関して、さまざまな企業や団体がレポートやガイドを公開しており、参考になるものが増えている。その中の一つに、アメリカンファッションデザイナーズ協議会(以下、CFDA)が無料で公開しているサステナビリティガイド「KPIデザインキット」がある。これは、サステナビリティと財務の重要業績評価指標(KPI)を包括するガイドとして、とても参考になる。CFDAがニューヨーク大学スターン校MBAの 1チームに依頼して作成したもので、目的は「小規模なブランドが現実的に実行でき、大きなインパクトを与えうる“クイック・ウィン(初期の成功)”の分野を適切に優先順位づけさせること」。社内にサステナビリティの専門家や研究開発予算を持たない、小さなデザイン・生産チームで手掛ける独立系デザイナーブランドの現実を考慮しており、中小規模の企業が取り組むべき項目を分かりやすく示している。CFDAのスティーブン・コルブ(Steven Kolb)最高経営責任者(CEO)にKPIキットを作った経緯を聞いた。

WWD:CFDAが、KPIデザインキットを作ることになった理由を教えてほしい。

スティーブン・コルブCEO(以下コルブ):以前からニューヨーク大学ビジネス学科スターンセンターとは、CFDAのファッションイニシアチブであるサステイナブルビジネスに関してパートナーシップを組んでいた。2019年に、公式サイトでサステナビリティハブをローンチした際に、そのリーダーを務めているCFDAの教育およびサステイナビリティイニシアティブ部署のバイスプレジデントであるサラ・コズロウスキー(Sara Kozlowski)が、業界全体でサステナビリティを実践するための実現可能なロードマップを作成する手伝いをニューヨーク大学に依頼した。そこで誕生したのが、KPIツールキットだ。同チームが、新しく設立されたサステナビリティハブ及びガイドを分析し、(233ページあるガイドの)重要ポイントをまとめるためのアドバイスをくれた。KPIキットは、デザイナーがより敏速に変化をもたらすことができる攻略ガイドと言える。

WWD:KPIデザインキットは、小規模及び中規模のビジネスに焦点を当てている。どのようにその規模を決めたのか。

コルブ:会社の売り上げがベースになっている。年商が500万ドル(約5億5000万円)以下、または従業員30人以下の規模の企業に向けて作られた。

WWD:KPIデザインキットに対するファッション業界からの反応はどうか?デザイナーらは特にどの部分を生かしているか?

コルブ:多くのデザイナーは即効果が見える部分、サプライチェーンの素材に関する点から取り組んでいることが多い。特にサステナビリティに最も影響のある、染料がそれだ。このガイドは、デザイナーたちがすでに気にしていた点を明らかにし、インパクトを3つの段階に分けることで取り組みやすくしている。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。